ジュネーブの文字盤工場、トラメランのムーブメント工場、そして、かつてボヴェ家が所有したという古城を徹底的にリファインした“シャトウ”と呼ばれるモティエ工房と、スイス国内に三か所の拠点を持つボヴェ(Bovet)は、2013年もジュネーブ市内のホテル・ボー リヴァージュに広いスペースを確保し、独特のラグジュアリーな雰囲気の中、新作発表会を催した。
今回の新作コレクションで特に目立ったのは、やはりトゥールビヨンの充実ぶり。しかもその多くが徹底した透かし彫り加工が施されたスケルトン・モデルであり、その超絶的な技巧に目を見張るほかはなかった。
このような工芸的な技術の粋を凝らしたモデルを充実させる一方で、イタリアの名門カロッツェリア(自動車ボディ工房)「ピニンファリーナ(Pininfarina)」とのコラボレーションによる新作も登場。2012年にピニンファリーナが発表したコンセプトカー「カンビアーノ」にちなむ限定モデル「ボヴェ・ピニンファリーナ カンビアーノ カンビアーノ(CHRONOGRAPH CAMBIANO CAMBIANO 45)」は、ボヴェのもうひとつの魅力を伝えてくれる。
もちろん、昨年の新作レポートでお知らせしたように、ワンタッチで腕時計が懐中時計や置時計に変身する「アマデオ・コンバーチブルシステム」は、ほとんどのモデルに採用され、一部には腕時計を裏返しに装着しても時刻の読み取りが可能となるように、裏面にも表側と同様に文字盤と時分針を装着したものが存在する。
工芸技術と大胆なケースの変換システムの完成。2013年の新作発表会でも、やはりボヴェの独創的な世界観が、さらなる輝きを増しているという印象を受けた。