時計界では常に新しい技術を探しているが、その中でもマテリアルに関する開発競争が激化している。時計のケースに使用される標準素材は、頑強で加工性に優れたステンレススティール。しかし金属アレルギーを発症させる可能性と重量感があるため大型モデルに向かないというデメリットもある。
その対抗馬として軽量なチタンが存在感を高めているが、加工やポリッシュ仕上げが困難で、しかも色がグレーなので高級感も出しにくい。
そして最も注目されているのがセラミックス。焼き物の一種で硬質なので傷がつきにくく、金属よりも軽量なので腕馴染みもよくなる。しかも配合する素材によっては、色の変更も自在に出来るので、ブラックにホワイト、さらにメタリックカラーもお手の物である。
時計界におけるセラミックスの大家といえば、ラドー(RADO)であろう。彼らは1986年に時計界で初めてセラミックスでケース素材を作っているので、他メーカーと比べてセラミックスの素材特性を熟知している。
多くのノウハウがあるので、様々な挑戦を行うことができるのだ。
2012年の今年はセラミックスケースにSS製の別体パーツを組み合わせたが、これは、セラミックスを焼結させる際の収縮率まで完璧に計算しなければ作ることはできない。つまりラドーのセラミックスはディテールまで楽しむべきなのだ。
新デザイナーを招聘した今年は、デザインもモダンにブラッシュアップされている。2012年最大の話題作「R-ワン」(300本限定。1,260,000円。税込)は、日本への入荷は一本のみだが、これを見るだけでもラドーの進化がわかるだろう。