ダニエル・ロートやジェラルド・ジェンタをブルガリブランドに統合し、更にケース・メーカーやブレスレット・メーカーなどの優秀なサプライヤーも傘下に収める"垂直統合"によって、ハイレベルなウォッチメーカーへと邁進するブルガリ(BVLGARI)。今年はそのメリットを生かすような、"美しい熟成"を重ねた新作が多数登場している。
「ブルガリ ダニエル・ロート(BVLGARI DANIEL ROTH)」からは人気モデル「クロノスプリント(CHRONOSPRINT)」にメタルブレスレット仕様が登場した。これはダニエル・ロート時代には無かったアプローチであり、ユーザーの声に応えた意味深い熟成である。
さらに「ブルガリ・ディアゴノ(BVLGARI DIAGONO)」からは、セラミックベゼル・モデルが登場。硬度が高くて傷が付きにくいセラミックは、ルックス面でも実用面でも時計界のトレンド素材だが、なぜかブルガリでは手を出さなかった。
その理由は繊細なブルガリのロゴを美しく出すための技術開発を、ひそかに進めていたから。トレンドをやみくもに追いかけるのではなく、自社の時計たちにどのようなメリット・デメリットをもたらすのかをしっかり勘案しながら、素材の導入を進める姿からも、ブルガリの真摯な姿勢が見えてくる。
ユニークな所では、イタリアの高級自動車メーカー「マセラティ」とのパートナーシップによって誕生したスペシャル・エディションがスタートしている。ベースとなるモデルは「ブルガリ ジェラルド・ジェンタ オクト クアドリレトロ(GERALD GENTA OCTO QUADRI-RETRO)」。確かにレトログラード針はクルマのメーターに良く似ている。ベース・デザインを変えることなくクルマというコンセプトに落とし込む技術は見事である。
ちなみにブルガリグループは4号館というメインホールとは別棟を拠点に、独自性の高い展示やインスタレーションを行っている。そのビジュアルインパクトも、年々熟成の度合いを高めており、多くの来場者を楽しませていた。