【グルーベル・フォルセイ】常軌を逸したウォッチメイキングで魅せる注目のマイクロブランド

1. 2人の天才時計師の出会い

ラグジュアリースポーツウォッチのブームが一段落しつつある一方、高級時計の世界はトレンドの多様化へと向かっている。そこで注目度が俄然高まっているのが、独立時計師が手がける作品などを中心とした“マイクロブランド”の存在だろう。2004年にデビューを果たしたグルーベル・フォルセイは、このジャンルにおいて際立った存在感を放つ気鋭である。

フランス・アルザス出身のロベール・グルーベルとイギリス生まれのステファン・フォルセイという2人の天才時計師が出会ったのは、超複雑時計工房の「オーデマ ピゲ ルノー・エ・パピ（現オーデマ ピゲ ル・ロックル）」であった。彼らは1999年の独立後、「コンプリタイム」という複雑時計機構の開発会社を設立。そこでの研究の結果として2004年に誕生したのが、トゥールビヨンウォッチ「ダブルトゥールビヨン 30°」だ。このモデルは、トゥールビヨンキャリッジを30度傾け、さらにはその機構全体を回転させるという、かつてないアイデアによって誕生したものだ。余りの完成度の高さに衝撃を受けた時計業界関係者も多く、グルーベル・フォルセイの初作品にして代表作となっている。

ロベール・グルーベル（右）とステファン・フォルセイ（左）。

グルーベル・フォルセイ　ダブルトゥールビヨン 30°

2. 常軌を逸したウォッチメイキングと奇妙なアトリエとの関係

1980年代にスイスで勃興した「機械式時計の復活宣言」から時が経ち、いまや高級時計の世界においてコンプリケーションの製造はなんら珍しいことではなくなった。そこでの競合との差別化は、ブランディングの側面においても欠かせないだろう。

グルーベル・フォルセイの場合、超複雑なコンプリケーションの設計技術は当然として、ありとあらゆるパーツを異常とも言えるほどのこだわりを持った手仕上げによって完成させていることが、それに該当する。生産性や効率性だけで見れば一見無駄とも思える、膨大な時間と作業工程から生まれるのが、世界中の時計愛好家を唸らせる類を見ないハイパーウォッチなのである。つまり、「唯一無二」であることは、数千万円を超える超高額帯の高級時計の世界では競争に勝ち抜くための必須条件であり、この条件を満たすグルーベル・フォルセイの作品は、希少性においても群を抜いている。

これらのハイパーウォッチが生み出されるのが、18世紀に建てられた農家を買取り、30°に傾いた独創的なデザインを取り入れたスイスの北西にあるラ・ショー・ド・フォンにあるアトリエだ。

ラ・ショー・ド・フォンにあるグルーベル・フォルセイのアトリエ。

アトリエの内部は、非常に近代的であり、部門間のコミュニケーションを良くするための工夫がなされている。働いている時計職人たちは、最先端のテクノロジーの開発を目指す一方、伝統的な技術の習得に努めている。彼らの妥協なき時計製造への情熱があってこそ、グルーベル・フォルセイの未来図が描かれるのであろう。

フィニッシュに至るまで仕上げなどの様々な工程を職人たちは乗り越えていく。

3. CEOアントニオ・カルチェが描く新たな成長戦略

2020年、グルーベル・フォルセイは数々のブランドで辣腕を振るったアントニオ・カルチェをCEOに迎えて新体制をスタートさせた。

氏は手始めにブランドメッセージをとして、独自技術を開発する「イノベーション」、約500時間かけて仕上げる「ハンドフィニッシュ＆ウォッチメイキング」、日差0.2～0.8秒という驚異の精度を実現した「パフォーマンス＆高精度」、積層構造で複雑機構を表現する「建築的デザイン」、そして生産本数と生産年数を限定するという「エクスクルーシブ＆レア」の5つの柱を打ち出した。

これにより、ブランディング＆マーケティングの強化を図り、圧倒的なクオリティを保ちながら年間の製造本数を増やし、より多くの時計愛好家へ作品を届けるプランを掲げている。

日本ではYOSHIDAとの独占販売を締結。2024年4月には、銀座で世界初となる直営店「グルーベル・フォルセイ ブティック 銀座」の出店を控えている。

グルーベル・フォルセイCEO アントニオ・カルチェ

4. YOSHIDAが選ぶグルーベル・フォルセイの最注目作6選！

8番目の発明となる最新作「トゥールビヨン ウォッチ「トゥールビヨン カルダン」の発表に、初のYOSHIDAスペシャルモデルまで並ぶ名店選んだグルーベル・フォルセイの6本のハイパーウォッチを紹介しよう。