メインコンテンツに移動

IWC historyIWCパイロット・ウォッチのすべて 05

新作発表会の場所をバーゼルワールドからSIHHへと移した2002年に登場した「ビッグ・パイロット・ウォッチ」(Ref.IW5002)

新作発表会の場所をバーゼルワールドからSIHHへと移した2002年に登場した「ビッグ・パイロット・ウォッチ」(Ref.IW5002)。そのデザインは1940年の「ビッグ・パイロット・ウォッチ・キャリバー52 T.S.C.」(Ref.IW431)の正統派後継機種と呼ぶにふさわしいもの。この年は1992年のIWCパイロット・ウォッチ復興に次ぐ、実に10年ぶりに訪れた第2の節目の年となった。


Part.5 2002年 21世紀の名品
「ビッグ・パイロット・ウォッチ」(Ref.IW5002)登場

 2002年、IWCは新作発表の舞台をバーゼルワールドからSIHH(Salon International de la Haute Horlogerie=国際高級時計展示会。通称ジュネーブサロン。2020年よりWatches and Wonders Genevaへと名称変更)へと移す。そこで発表されたのが「ビッグ・パイロット・ウォッチ」(Ref.IW5002)。この年、IWCのパイロット・ウォッチは1992年に続いて再び大きな節目を迎えることとなった。


「ビッグ・パイロット・ウォッチ」(Ref.IW5002)は、IWCが21世紀に入ってから発表した腕時計の中でも最大ケースサイズの46.2mm。搭載ムーブメントは自社製のキャリバー52110。近年のIWCのパイロット・ウォッチ史で転機となったモデルで、そのスタイリングの発想源は1940年登場の「ビッグ・パイロット・ウォッチ・キャリバー52 T.S.C.」(Ref.IW431)。つまり当時のドイツ国防軍空軍向けパイロット・ウォッチ「B-Uhr」の歴史も汲むデザインだ。この基本デザインは2012年発表の「ビッグ・パイロット・ウォッチ」(Ref.IW5009)、さらに2021年の「ビッグ・パイロット・ウォッチ 43」(Ref.IW329301)へと引き継がれていく。


 以下、参考資料の『IWC PILOT’S WATCHES -FLYING LEGENDS SINCE 1936-』を要約すると、「(『ビッグ・パイロット・ウォッチ』Ref.IW5002の)搭載ムーブメント、キャリバー5011(編集部註:原文ママ。IWCの指摘では実際の搭載ムーブメントは『Cal.52110』とのこと。以降の文章も同様に註入る)は伝説のキャリバー8541と2000年に登場したキャリバー5000をベースとしている。IWCの主任エンジニアであるクルト・クラウス博士と彼のスタッフは、長い間この改良に努めていた。38.20mmの直径と7.44mmの厚さは意図的なものだ。このキャリバー5011(編集部註:原文ママ。前述と同様の理由で「Cal.52110」)とキャリバー8541の非常に近い関係は、いわゆるカム式の“ペラトン”式巻き上げ機構も含まれている。(中略)少なくとも理論的には、この素晴らしく調整された小宇宙は完全にゼンマイを巻き上げた状態で204時間(編集部註:原文ママ。IWCによれば168時間)走り続ける290の部品から成り立っている。キャリバー5000のように、キャリバー52110(編集部註:原文ママ。こちらは正しく記述されている)はパワーリザーブ表示を3時位置に表示する。しかしキャリバー5000とは違って、キャリバー52110はセンターセコンド式で6時位置に日付表示窓が設置された。


 無反射コーティングのクリスタルガラスは気圧の急激な降下から保護されている。軟鉄性インナーケースはムーブメントを32,000 A/m.の磁界から護り、他の特徴はスクリュー止めケースバック、ねじ込み式リューズ、60m防水である」(以上、『IWC PILOT’S WATCHES -FLYING LEGENDS SINCE 1936-』より)


「ビッグ・パイロット・ウォッチ」(Ref.IW5002)は世界限定500本のほか、レギュラーとしてステンレススティールと18Kホワイトゴールドケースが用意された。


 さらに翌2003年のSIHH(旧)では「スピットファイア」コレクションも発表し、「スピットファイア・ドッペルクロノグラフ」(Ref.IW371338。ステンレススティールケース。自動巻き、Cal.79230、スプリットセコンド・クロノグラフ。6気圧防水)他UTCモデル等が登場する。


2006年 「スピットファイア」コレクション独立。
「マークXVI」登場


 この年、2003年にスタートした「スピットファイア」がコレクションとして独立。自動巻きクロノグラフやUTC、ミッドサイズケースなど計4つのモデルが発表されたが、特にIWCのパイロット・ウォッチ史を継承する名称「Mark(マーク)」が冠せられた「パイロット・ウォッチ・スピットファイア・マーク XVI(註:16)」(Ref.3255。ステンレススティールケース、ケース径38.1mm。自動巻き、Cal.30110。耐磁性インナーケース)の存在は、マークシリーズと英国王立空軍(RAF)の歴史的な関係を考えると感慨深いものがある。


 また作家であり飛行士のアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの作品『夜間飛行』(「Volde Nuit」または「Night Flight」)出版75周年を記念し、「パイロット・ウォッチ・クロノ・アントワーヌ・ド・サンテグジュペリ」が世界限定1931本で発表された(ケース径42mm。自動巻き、Cal.A/79320。6気圧防水。ステンレススティールケース=1630本、18Kローズゴールドケース=250本、18Kホワイトゴールドケース=50本、プラチナケース=1本)。



2007年 最初の“トップガン”モデル「パイロット・ウォッチ・ダブルクロノグラフ“トップガン”」登場(Ref.IW379901)


 2007年、アメリカ海軍戦闘機兵器学校(NFWS=United States Navy Fighter Weapons School)、通称“TOPGUN(トップガン)”に因んだ最初のモデル「パイロット・ウォッチ・ダブルクロノグラフ“トップガン”」(Ref.IW379901)が発表。キャリバーA/79230搭載。耐久性、耐腐食性に優れる酸化ジルコニア・セラミック製ケースに、ダブルクロノグラフを組み合わせたモデル。なお5年後の2012年には5つの新モデルを備えた独立ラインとして、トップガン・コレクションが誕生する。


 翌2008年、創業140周年。


2012年 “パイロット・ウォッチ・イヤー”に
トップガン・コレクション誕生


 この年は“パイロット・ウォッチ・イヤー”と呼べるほど充実した新作群をSIHH(旧)で発表。会場にはアメリカ海軍航空母艦の艦橋部や、原寸大の同海軍戦闘機の機首部を展示。その意味するところはブラックセラミックケースの「ビッグ・パイロット・ウォッチ“トップガン”」(Ref.IW501901。自動巻き、Cal.51111。ケース径48.6×厚さ14.9mm)に代表される“トップガン”コレクション誕生の大々的なアピールだ。この他、2006年に発表された先代の「パイロット・ウォッチ・スピットファイア・マーク XVI(註:16)」よりもケース径が2.9mmサイズアップした41.0mm、3日連続表示式カレンダー装備の「パイロット・ウォッチ・マークXVII(註:17)」(Ref.IW326504。自動巻き、Cal.30110。ステンレススティールケース)等が発表された。


2016年 再びパイロット・ウォッチがテーマに


 この時代のSIHH(旧)におけるIWCは、年毎に設定されたテーマを表現したブースの演出が特徴。2012年に続き2016年のテーマは再び“パイロット・ウォッチ”。会場には英国王立空軍のスピットファイアの同サイズの機体を吊り下げるという圧巻の演出を行った。


 慎重にラインナップされた新作中“パイロット・ウォッチ”には2種類のモデルを用意。そのうち「パイロット・ウォッチ・マークXVIII(註:18)」(Ref.IW327001)は、2012年発表の前作「パイロット・ウォッチ・マークXVII」の正統派後継機。ケース径は前モデルより1mmサイズダウンの40.0mm、3日連続表示式カレンダーは通常の1日表示に変更されたが、搭載ムーブメントは前機種と同じ自動巻きのCal.30110。ステンレススティールケースの裏蓋には、2000年より動体保存のサポートを行う「ユンカース Ju 52」の機体を刻印、またイタリアの高級靴ブランドであるサントー二社製のブラック・カーフストラップが用意された。


 もうひとつの“マーク XVIII”はトップガン名を冠した「パイロット・ウォッチ・マーク XVIII “トップガン・ミラマー”」(Ref.IW324702)。こちらは飛行監視要員用時計のデザインを採用し、直径41.0mmのブラックセラミックケースにブラウンダイアル、搭載ムーブメントは「パイロット・ウォッチ・マークXVIII」と同じ自動巻きCal.30110である。



 このほか2002年発表の「ビッグ・パイロット・ウォッチ」(Ref.IW5002)の後継機には、IWCとも縁が深い英国王立空軍の歴史遺産“スピットファイア”名を戴く「ビッグ・パイロット・ウォッチ“スピットファイア”」(Ref.500917)が、18Kレッドゴールド+サントー二社製ブラウン・カーフスキンストラップで登場。搭載ムーブメントは、ペラトン式自動巻き機構を備える自社製ムーブメントのCal.51111である。


 このように2002年に始まるIWCのパイロット・ウォッチは、“ビッグ・パイロット・ウォッチ”や“マーク”シリーズに“トップガン”や“スピットファイア”名が加わり、爆発的にコレクションが充実していく。




協力:IWC / Special thanks to:IWC



  • 構成・文 / Composition & Text

    田中 克幸 / Katsuyuki Tanaka
    Gressive編集顧問。1960年愛知県名古屋市生まれ。大学卒業後、徳間書店に就職。文芸部を経て1988年「グッズプレス」創刊に携わり、後に編集長に就任。この間、1993年に同社で「世界の本格腕時計大全(後の『TIME SCENE』)を創刊し、2009年まで編集長を務める。同年より「Gressive」に参加。1994年よりスイスを中心としたヨーロッパ各国を取材、現在も継続中。

  • 写真 / Photos

    堀内 僚太郎 / Ryotaro Horiuchi
    フォトグラファー。1969年、東京都生まれ。1997年に独立。広告、ファッション、CDジャケットやポートレイト等で活動。2006年からスイス時計フェアの撮影を続け、2009年からGressiveに参加。2018年にH2Fotoを立ち上げ写真講師としても活動。

  • 写真 / Photos

    江藤 義典 / Yoshinori Eto
    フォトグラファー。1981年、宮崎県生まれ。2001年に上京。2006年、知人の紹介でカメラマンの個人スタジオのアシスタントに。スタジオ勤務を通し写真撮影とデジタル・フォト加工技術を習得。2013年に独立し、自らのスタジオを開設。Gressiveをはじめ、メンズ誌、モノ情報誌、広告等で活動。スイス時計フェアは2015年から撮影を継続。

INFORMATION

アイ・ダブリュー・シー(IWC)についてのお問合せは・・・

アイ・ダブリュー・シー
〒102-0083 東京都千代田区麹町1-4
TEL: 0120-05-1868


アイ・ダブリュー・シー ブランドページを見る

NEW RELEASE

新着情報をもっと見る