世界的な不況の真っただ中で開催されたバーゼルワールド2009。全体を見渡すと、戦略的にプライスを抑える動きが各社で目立っていたが、もともとコストパフォーマンスの高さに定評のあるタグ・ホイヤー(TAG Heuer)は、例年どおり各レンジにバランスよく限定版を含む新モデルを投入。バリエーションを絞った新作発表が主だった今年のバーゼルワールドの中でも非常に充実した内容だったといえる。その中でも目玉となったのが今年で40周年を迎える「モナコ」シリーズ。一貫したテーマのもとに、最先端技術が投じられたコンセプトモデルや、初代モデルの完全復刻、定番モデルのリニューアルなど、バリエーション・価格ともに幅広い展開をみせており、タグ・ホイヤーの巧妙な“戦略”が垣間見える。
プロダクト以外のトピックとしては、同社の製品をPRする“アンバサダー”として、タイガー・ウッズ、ルイス・ハミルトン、マリア・シャラポワらに加えて、俳優レオナルド・ディカプリオが新たに迎えられ、4月より時計を強く握り締めた印象的な広告キャンペーンがスタート。また日本では4月10日に東京・銀座に旗艦店をオープンしており、不況の時代にあっても明るい話題には事欠かない。
来年はいよいよ、ブランド創設150周年の節目を迎えるタグ・ホイヤー。今年の新作陣はアニバーサリーイヤーに向けた布石となるのだろうか。今後もその動きから片時も目が離せそうにない。
Grand CARRERA Calibre 36 RS2 Caliper Chronograph Ti2
モデル名:グランドカレラ キャリバー36 RS2 キャリパー クロノグラフ Ti2
Ref:CAV5185.FT6020
ケース径:縦50mm×横43mm
ケース厚み:15.50mm
ケース素材:チタニウム
防水性:100m
ストラップ:ラバー
ムーブメント: 自動巻(Cal.36 RS)、毎時28,800振動、50時間パワーリザーブ
仕様:回転ディスクによるクロノグラフ、日付表示、回転式インナーベゼル(クロノグラフ1/10を操作)、固定式ベゼル(時速計測用のタキメーター目盛りを記載)、クロノメーター規格(COSC認定)
予価:1,050,000円(税込)
発売予定:2009年 10月
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毎年<コンセプトモデル>として、最新鋭の技術を結集したスペシャルな一本を発表するタグ・ホイヤー。それも扇動的な話題提供にとどまらず、着実に製品化に向けプロジェクトを推し進める姿勢に、同社のフィロソフィーが表れている。
こちらの新作は、昨年発表されて大いに話題を呼んだコンセプトモデルが実用化された「グランドカレラ キャリバー36 RS2 キャリパー クロノグラフ」。ゼニス社の<エル・プリメロ>ベースの<Cal.36>を内蔵し、毎秒10振動を刻むハイビートキャリバーだからこそ実現できた、わずか1/10秒という詳細な計時を世界ではじめて可能にした秀作である。ケース左側のリュウズで内側のスケールを回転させ、クロノグラフ針に目盛りを合わせてノギスと同じ要領で仔細な計測時間を読み取る方式。ディスク式のインダイヤルや、文字盤9時位置に配されたバーティカル表示式のリニアセコンド・カウンターのデザインが未来的な、ブラックボディに赤がピリリと効いた、タグ・ホイヤーの最高峰モデル。
文:越知絵里香 写真:板津亮
※表記は2009年4月現在のものになります。