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DOXA伝説のダイバーズ・ブランド「ドクサ」がついに日本市場への本格参入を宣言 05

稀代の海洋冒険作家、クライブ・カッスラーとDOXA

写真右側が2025年発表の「SUB 300T クライブ・カッスラー」 。海底に長く眠る古船で発見されたかのような、いぶし銀とも言える渋い存在感を放つレギュラーモデル

写真右側が2025年発表の「SUB 300T クライブ・カッスラー」 。海底に長く眠る古船で発見されたかのような、いぶし銀とも言える渋い存在感を放つレギュラーモデル。ヴィンテージ風味にエイジングされたステンレススティール・ケースと、古(いにしえ)の船で使われたかのような羅針盤のダイアルが特徴。自動巻き。300m防水。一方の左側は2026年の「SUB 300 Ti5 クライブ・カッスラー」。こちらは1967年に発表された、ドクサのオリジナル・ダイバーズとも言える「SUB300」のトリビュートである。ただし素材はグレード5のチタンを採用。分針のドクサ・オレンジも特徴のひとつ。300m防水のCOSC認定クロノメーター。

 DOXA(ドクサ)には、他の時計会社に見られるような、いわゆるアンバサダー契約を俳優やアスリート達と結ぶ積極性や、各国軍隊とのコラボレーションを推進する熱心さが、あまり感じられない。本格ダイバーズという出自ながら、ありがちなマーケティング・メソッドに従っていないことは、非常に珍しい。最近では、2026年6月6日に開催された日本ローンチ・イベントで、スピアフィッシュング世界チャンピオンの小坂董平氏が、日本で初めて「DOXA Friends」に選ばれたことぐらいが記憶に残る。歴史的にスイス軍とのつながりはあるが、これ以外は軍との正式なパートナーシップはない、とヤン・エドクスCEOは今回の特集内インタビューで答えている。

 しかし、唯一と言ってもよい例外がある。

 米国の作家、クライブ・カッスラーだ。ドクサは毎年7月15日の彼の誕生日に、カッスラーの名前を冠したモデルを発表している。では、クライブ・カッスラーとはどういう人物か? おそらく日本人の一部の層にしか、その名前が浸透していないと思われるカッスラーと、彼とドクサとの繋がりをここで紹介したい。

海洋冒険に生涯を捧げたクライブ・カッスラー

 クライブ・エリック・カッスラー(Clive Eric Cussier)は、世界的に有名な米国の海洋冒険作家であり、海洋冒険家である。彼は作家と、その作品の中で登場する主人公さながらに行動する海洋冒険家という、ふたつの顔を併せ持つ人物。惜しくも2020年2月24日に逝去している。享年88歳。彼の生涯を賭けた冒険の軌跡は、映画『タイタニック』の監督でありながら、およそ120年前に大西洋の深海に沈んだタイタニック号の調査を行った、映画監督のジェームズ・キャメロンに共通するものだ。ついでに書くと、カッスラーとキャメロンはひとつのテーマで結び付いている。それが前述のタイタニック号だ。

 カッスラーの生涯や活動内容の概要は、Wikipediaで記されているのでご興味のある方は検索を。ここではカッスラーの代表作と、その作品中に登場するDOXAについて解説する。

 作家としてのデビュー作は『海中密輸ルートを探れ』(原題『THE MEDITERRANEAN CAPER』。1973年)。主人公は架空の組織、国立海中海洋機関「NUMA」(The National Underwater and Marine Agency)の特殊任務責任者、ダーク・ピット(Dirk Pitt)。彼を中心に、激情型でありながら沈着冷静、葉巻きがトレードマークのNUMA長官ジェームズ・サンデッカー提督と、ピットの同僚で頭脳派の作戦指揮官ルディ・ガン、同じく同僚で陽気なイタリア人気質の肉体派、特殊任務責任者次長アル・ジョルディーノたちがチームとなり、国家どころか世界の存亡に関わる難事件に挑んでいく。いわばダーク・ピットは有能なチームを率いた007=ジェームズ・ボンドで、海中海洋機関というよりは政府の特殊諜報機関張りの活躍をする。

 ストーリーの骨格は基本パターンを踏襲するが、そこに出現する脅威や謎が一流のストーリーテリングで展開し、読む者を独自のカッスラー・ワールドへと引き込む。特にある作品のプロローグでは歴史上の史実、例えば前述の「タイタニック号沈没事故」(1912年4月)や、「米国女性飛行家アメリア・エアハート遭難事件」(1937年)を披露し、そこが最終的に当該作のテーマと結びつくという離れ業をやってのける力量には定評がある。1973年のデビュー作から、子息のダーク・カッスラーとの共作となった2021年の『悪魔の荒波を越えよ』(原題『The Devil's Sea』)まで、実に26作品を世に送り出している。これだけではない。ダーク・ピットシリーズの他、異なる主人公を据えた4シリーズに加え、ノンフィクションも上梓。ダーク・ピットシリーズも含めると、その作品総数はおよそ90。驚異的だ。

 さらに驚くことに、想像の世界では満足せずデビューから早くも6年後の1979年には、自身が作り上げた架空の組織である海中海洋機関NUMAと同名の非営利組織を設立し、60隻以上の難破船を発見していることだ(これらの探索に関するノンフィクションも上梓。もっともそこに国際的危機や陰謀は存在しないが)。

 舞台が地球上の海中海洋に関することであり、主人公のダーク・ピットが超人的な頭脳と身体能力を備えているため、腕時計は彼の必携品だ。彼の名を一躍有名にしたのが、3作目の『タイタニック号を引き揚げろ』(原題『Raise the TITANIC!』。1976年)。ただし当作品では、彼の着用する時計は「腕時計」としか書かれていない。具体的に名前が出てくる作品の中で、ここでは11作目の『死のサハラを脱出せよ』(原題『SAHARA』。1992年)でのドクサの描写を紹介する。物語も後半に入り、ダーク・ピットたちがいよいよ敵の牙城へ侵入する件(くだり)だ。


「彼らは無言で顔を見合わせ、立ち上がった。
『入ってくる列車だ』とジョルディーノがいった。
 ピットは潜水用の腕時計ドクサを顔に寄せて、蛍光を放っている針を確かめた。『11時20分。おれたちなりの調査をすませて、夜明け前に脱出するには、時間はたっぷりある』 『ただし、出発する列車の予定があればの話だが」とジョルディーノが注意した』……」(『死のサハラを脱出せよ(下)』クライブ・カッスラー著。中山善之訳。新潮文庫。平成4年11月25日発行)



構成・取材・文:名畑政治(TOP PAGE、P.1-P.4)、田中克幸(P.5-P.7) / Composition, Report&Text:Masaharu Nabata , Katsuyuki Tanaka
写真:高橋敬大(TOP PAGE、P.1-P.3、P.5-P.6) / Photos:Keita Takahashi



INFORMATION

ドクサ(DOXA)についてのお問合せは・・・

株式会社 大沢商会 時計部
〒103-0001 東京都中央区日本橋小伝馬町1-7
TEL: 03-3527-2682


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