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RESERVOIR“MAKE IT BOLD”=“大胆に行こうぜ!”ひとりの計器蒐集家の夢想から生まれた時計趣味人の魂に点火する「レゼルボワール」 04

コミックスとカスタムウォッチ・メーカーとの件

米国の漫画家エルジー・クリスラー・シーガーが創造した、“世界でもっとも有名な水兵”、ポパイ

米国の漫画家エルジー・クリスラー・シーガーが創造した、“世界でもっとも有名な水兵”、ポパイ。ジェラルド・ジェンタのミッキーマウス・ウォッチとコミックを愛するモロー氏は、自社のレトログラード機構ムーブメントの自動巻きCal.RSV-240を搭載したポパイ ウォッチ「レゼルボワール × ラベル ノワール × ポパイ」を作り上げた。ポパイシリーズは当モデルを含めて5作存在する(2025年4月時点)。なお、日本でポパイのアニメーションが放映されたのは1959年から1965年のTBS系。私も子供の頃に毎週(多分)見ていたが、当時の子供にとって魅力的だったのはホウレン草だろう。一般的にホウレン草は子供にとっては苦手な食材だが、ポパイがホウレン草の缶を片手でいとも簡単に握り潰すと、そこからツルッと出た緑色のホウレン草をポパイがひと飲みする。そうするとめきめき力こぶが盛り上がり、マッチョ化したポパイはブルートをあっという間にぶちのめし、恋人のオリーブも助かってめでたしめでたし……というルーティンだ。「ポパイのように強くなれる!」と、当時の子供たちの中には一所懸命ホウレン草を食べた子もいただろう(私がそうだった)。


 レゼルボワールには「車(gtツアー等)」「航空機(エアファイト等)」「マリン(ティーフェンメッサー等)」「音楽(ソノマスター・クロノグラフ等)」といったコレクション以外にも、注目すべきラインナップが存在する。それはコミックスをテーマにした、カスタムウォッチ・メーカー/コンセプトメーカーとのコラボレーション・モデルだ(ただし、P.02で紹介した2023年発表の「オンリーウォッチ」出展トゥールビヨンは例外的存在で、どのカテゴリーにも該当しないと判断する)。

 私見だが、2010年頃から“時計のパーソナライズ”が着実に進んでいる印象がある。つまり誰でもが買えるような時計はなるべく避け、“独創的で希少性の高い非・大量生産品”の“私だけの時計”を探し求める傾向だ。20年ほど前から限定モデルの種類と量が増えている印象があるが、これもウォッチ・メゾン側からの希少性のアピールの表れだろう。さらに新型コロナ禍のパンデミックによる自粛期間が、時計の知識を深める格好の自習時間になったこともパーソナライズの要因になっている。当然、マイクロブランドへの注目度も年々高くなり、日本ではNH WATCHや東京時計精密の浅岡 肇氏と大塚ローテック等が海外で知られている。

 マイクロブランド以外でも、パーソナライズ時計を生み出す原動力として見逃せないのが、カスタマイズウォッチメーカー/コンセプトメーカーである。筆頭としては、レゼルボワールも精力的にコラボレーションを進めるラベル ノワール(Label Noir / スイス。2011年設立)や、マッセナ LAB(Massena LAB / 米国)、バンフォード ウォッチ(Bamford Watch Department / 英)が挙げられる。さらに、世界中の時計愛好家クラブやメディアがメゾン側に働き掛け、続々とオリジナルウォッチを生み出している傾向も要注目だ。これは2020年発生の新型コロナ禍から格段に進んでいるが、レゼルボワールも当然ながらこの潮流に敏感である。結果として、それはモロー氏が好きなコミックスの世界を、コンセプト/カスタムメーカーとのコラボレーションで誕生したシリーズとして華開いた。


「私はコミックスも大好きでね、ポルシェやマスタングに負けないぐらい大好きです。そこでベルギーとフランスで有名な『ブレイク・エ・モーティマー “by jove!!!”(Blake et Mortimer “by jove!!!”)』(※註)の時計を製作しました。私の青春時代のヒーローで、今でも新作を買っています。ジェラルド・ジェンタのミッキーマウス・ウォッチのような、“遊び心のある良い時計”が好きなんです。“ブレイク&モーティマー”モデルでは、特にふたりのコートの色の表現に注意を払いました。このコミックスはベルギー、フランス、スイスでは有名ですが世界的とは言えません。しかし、『ブレイク・エ・モーティマー』を知らない人でも、ふたりを描いたダイアル・デザインが良いといって購入してくれるお客さんもいます。

『ブレイク・エ・モーティマー “by jove!!!”』はラベル ノワールとの共作で、『ポパイ ウォッチ』に続く2作目です。この会社は優秀なデザイン力と技術力が強みのカスタマイズ・スタジオです。今はルイ・エラールとの共作もありますよ。この会社の他にもマッセナ LABやバンフォード ウォッチ(Bamford Watch Department / 英)などがありますね」

(※註:ブレイク・エ・モーティマー。ベルギーの漫画家エドガー・P. ジェイコブスが1946年、つまり第二次世界大戦終結直後に発表した漫画シリーズ。元英国王立空軍パイロットで現在は英国諜報機関MI5の長官を務めるフランシス・ブレイク大尉と、彼の友人であり英国原子物理学会の第一人者フィリップ・モーティマー教授が繰り広げる冒険譚。いわゆる“バディもの”の痛快なスパイ・コミックス。ブレイク大尉が軍事情報部第5課のMI5=保安局所属なのは、当組織が第一次世界大戦から敵勢力のスパイ狩りを担当していたからと思われる。Wikipediaより)

reservoir × ラベル ノワール × ポパイ

reservoir × Label Noir × Popeye
reservoir × ラベル ノワール × ポパイ


モロー氏とラベル ノワール創設者/時計職人のエマニュエル・クルティ氏との共作で実現した「reservoir × ラベル ノワール × ポパイ」。モロー氏はポパイを選んだ理由について「レゼルボワールのブランド・コンセプトである『MAKE IT BOLD』という、大胆さと決断力を体現しているから」と述べる。ポパイの力強い腕を象(かたど)ったレトログラード針が分を表示、グレーDLC加工のチタンケースと同系統色のダイアルが、時計全体に非常な落ち着き感をもたらすことで、却ってポパイの存在感を浮かび上がらせている。ポパイ ウォッチのカラーリングの中でも、異色ともいえるシックな存在感を醸し出すモデルで不思議な魅力がある。

Ref:RSV04.PO/433
ケース径:41.5mm
ケース素材:チタン(グレーDLC加工、サテン仕上げ)
防水性:5気圧(5m)
ストラップ:トープグレー・ヌバックレザー
ムーブメント:Cal.RSV-240(LJP-G100ベースの113個のパーツから構成される特許取得済みのモジュール搭載)、毎時28,800振動、43石、約56時間パワーリザーブ
仕様:時(ジャンピングアワー)・分(レトログラード)表示、シースルーバック
限定:世界限定200本
価格:845,900円(税込) ※完売品

 「ポパイの最初のコレクションを見た、あるカスタマーからこんなリクエストがありました。中東やメキシコなどからです。

『もっと我が国に合ったポパイを作ってくれないか』と。それでラクダに乗って砂漠を行くポパイ ウォッチを作りました。日本向けのモデルも、一新時計さんと検討中です」


 ぜひ日本の時計愛好家の方も期待して頂きたい。1990年代に機械式時計が復興した際、その情報発信基地は主にイタリアであった。その頃よく言われたのが「男性の嗜好品には共通性がある。腕時計に車、スポーツ、ついでに音楽(楽器)……」。最後のジャンルは私が勝手に付け加えたものだが、これらのジャンルのアイテムには、世界の趣味人を惹きつける共通性がある。さらに深掘りすると、これに“計器”が加わるだろう。クロノグラフもパイロットウォッチもダイバーズも、みんな計器だ。

 計器の時計化は機械式懐中時計が誕生してから幾度となく誕生した。20世紀、21世紀と時代は進んでもそれはけして終わることはない。計器と時計への限りない愛情……、ひとりのメーター・エンスージアストが思い描く夢想から誕生した21世紀の新星、それがレゼルボワールである。



取材・文:田中克幸 / Report&Text:Katsuyuki Tanaka
撮影:高橋敬大 / Photo:Keita Takahashi
協力:一新時計 / Thanks to:ISSHIN WATCH CORP.


INFORMATION

レゼルボワール(RESERVOIR)についてのお問合せは・・・

一新時計株式会社
〒160-6136 東京都新宿区西新宿8-17-1住友不動産新宿グランドタワー 36階
TEL: 03-6631-0087

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