H.Moser & Cie.2028年に迎える創業200周年をひかえたH.モーザーの未来戦略 04
H.モーザーの新境地を開拓する
30秒レトログラード・モデル

「パイオニア・レトログラード セコンド ミッドナイトブルー」のダイアルはサンバースト仕上げを施したミッドナイトブルー フュメが採用されている。
そしてこれが「パイオニア・レトログラード セコンド ミッドナイトブルー」ですね?
「そうです。通常の時分針に加え、ダイアルの下部に30秒ごとに秒針がジャンプしてスタートに戻り、再び秒表示を再開するレトログラード機構を搭載しています。ダイアルはサンバースト仕上げを施したミッドナイトブルー フュメ。一見するとH.モーザーのロゴが入っていないように思えますが、よく見ると12時のインデックスの下にクリアラッカーでプリントされたロゴを見つけることができます。非常にH.モーザーらしいモデルだと言えます」
それにしてもH.モーザーをはじめとしてマイクロ・ブランドや独立系と呼ばれる小規模メーカーの活躍が著しいですね。これについてニコラスさんはどう思いますか?
「時計業界はひとつの大きなファミリーのようなものなので、私は他社をライバルとは見ていません。なんというか職人の集まりであり、時計に対する情熱を持っている人の集まりなのです。数年前、ジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリの授賞式で、IWCの方が我々のことを『シャフハウゼンにある、もうひとつのブランドです』と紹介したことがあり、言外にシャフハウゼンにはIWCの他にもブランドがあるよ、と言ってくれたことがとても嬉しかったことを覚えています。また、ショパールのショイフレCEOも、そのようなイベントがあると必ず話にやって来てくれますし(ニコラスさんはH.モーザー以前、ショパールに勤務していた)、時計業界は時計が好きであることを共有する共同体であり、時計に対する愛を共有しているという意識を持つ大きなファミリーだと思っています。
そんな中、2018年から2020年にかけて、バーゼルかジュネーブかといった大きな戦いがありましたが、今は独立系のブランドが中心となって、団体のいざこざが問題ではなく、あくまでも顧客が中心であり、時計に関わる人たちは顧客なしには存在しえないということを再認識したのだと思います。
その結果、業界としても独立系ブランドを無視できない状況になっていますし、確実に重要なポジションを占めていることは間違いのないことです。
昨年、日本のマイクロ・ブランドがジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリで受賞しましたし、ソーシャルメディアではそのような情報が溢れています。これによってマイクロ・ブランドが、これまでの限界値を押し上げるようなはたらきをするようになっていますし、我々も、それに対応した仕事をしていこうと考えています」
それにしても3年後の創業200周年は楽しみですね。
「ええ、きっと2028年は大きな年になるでしょうし、盛大な何かをしたいと考えています。しかし、やりたいことやアイデアが多すぎて、冷静になるのが大変です。もちろん、やっていることが大好きなので、楽しみながらできたら良いと思っています」
取材・文:名畑政治 / Text:Masaharu Nabata
協力:エグゼス / Thanks to EXEX
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