古典に前衛を融合した
秀逸なフォルムとディテール
フランク ミュラーは、そのロングアイランドとニューヨーク中心部のマンハッタンを結ぶ橋から「ロングアイランド」の着想を得たという。

アメリカ合衆国ニューヨーク州にあるロングアイランドは、リッチなニューヨーカーにとっての住宅地および保養地だった。フランク ミュラーは、そのロングアイランドとニューヨーク中心部のマンハッタンを結ぶ橋から「ロングアイランド」の着想を得たという。

 20世紀初頭に現れたレクタンギュラー・モデルと「ロングアイランド」の大きな違いは、ボリューム感溢れる三次元的なケースの厚みと腕にフィットするカーブである。そこに大きな開口部を設け、文字盤いっぱいに伸びやかなビザン数字を描くことで、時刻の視認性を確保。

 時分針はブルースチール仕上げされたスペード型。文字盤中央部にはギョウシェ仕上げされたベース部からくっきりと浮き上がった“レイルロード・トラック”と呼ばれるオーバル状の目盛りを配すことで、やはり時刻の読み取りやすさが十分に確保されている。

 そして細部の作り込みと同じく、「ロングアイランド」というネーミングも実に秀逸だ。

 ご存知のように「ロングアイランド」とは、アメリカ合衆国ニューヨーク州南東部にある東西約190km、最大幅約37kmもの規模を持つ、文字通り長い長い島のこと。

 この島にはアメリカ独立戦争時代から資産家が移り住み、1920年代には大規模な開発が行われてニューヨーク近郊の住宅地や高級リゾート地として大いに賑わい、ニューヨーカーだけでなくヨーロッパからも富裕層が集ったという。

 そんな欧米のハイソサエティの生活を想起させる「ロングアイランド」というネーミングは、時計そのものの長方形フォルムと見事に融合し、現在ではフランク ミュラーの代表作「トノウ カーベックス」に匹敵する人気コレクションへと成長したのである。

腕に沿ってピタリとフィットするボリューム感に溢れる「ロングアイランド」のサイドビュー

腕に沿ってピタリとフィットするボリューム感に溢れる「ロングアイランド」のサイドビュー。ケース開口部いっぱいに広がる文字盤によって時刻の読み取りやすさの点でも極めて優れている。



ギョウシェ彫りが施された陰影に富む文字盤に、今やフランク ミュラーのアイコンとなったビザン数字をあしらっている

ギョウシェ彫りが施された陰影に富む文字盤に、今やフランク ミュラーのアイコンとなったビザン数字をあしらっている。時分針はブルースチール仕上げが施されたスペード・ハンド。文字盤中央部にはオーバル型のレイルウェイトラックが設置されている。


あらゆる腕にフィットする豊富なサイズ・バリエーション 

取材・文:名畑政治 / Report&Text:Masaharu Nabata
写真:江藤義典 / Photo:Yoshinori Eto


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フランク ミュラー ウォッチランド東京
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