近代生活を豊かに彩る
「ヴァンガード」の未来的フォルム

2016年に発表された「ヴァンガード グランデイト」は、クロノグラフ機構と二枚のディスクで大きく日付を表示するグランデイト機構を装備するモデル。大胆なオープンワークのダイアルにより、時計内部のメカニズムがじっくりと観察できる。また、ダイアルの外周部に嵌め目込まれたレッドの枠に合わせて、ブラックのクロコダイルストラップにレッドのステッチが施されている点にも注目していただきたい。
ヴァンガード グランデイト / Ref:V45CCGDSQT ACNR、ケースサイズ:縦53.7mm×横44.0mm、ケース素材:SS、防水性:日常生活防水、ストラップ:クロコダイル×ラバー、ムーブメント:自動巻き、価格:2,800,000円(税抜)

  その1930年代スタイルが、やがてストリームラインの流行などに影響を受け、1940年になるとボールド・ルック(Bold Look)へと進化する。このスタイルは“ボールド(太いという意味)”という名称通り、肩幅を強調し、襟やネクタイの幅も広い、力強いスタイル。1930年代スタイルをベースにしつつも、より男らしさを強調したダンディズムに溢れるファッションは、映画などのメディアを通じて世界に広まり、一般大衆を巻き込んで、アメリカへの大いなる憧れをかきたてた。

  この時代、アール・デコやストリームラインの流行に象徴されるように、交通機関や工業製品が発達し、建築にも新しく合理的な思想が取り入れられることで、近代的な都市生活のスタイルが確立した。時には1929年に始まる世界大恐慌など暗いニュースもあったが、日常のビジネスや休日のバカンスなどでは、最先端のファッションに身を固めた男女が豊かな近代生活を謳歌したのである。

  今、1930~40年代に最先端だったファッションや生活様式が再び脚光を浴び、再評価されつつある。そんな時代の空気にフランク ミュラーの「ヴァンガード」は、見事にフィットするはずだ。

  ストリームラインに共通する丸みを帯びた豊かな曲面は、ストラップと一体となった流麗なラインを形作り、アール・デコを原点とするカッチリした幾何学的なアラビア数字インデックスは、立体的に造形され、時計にとって、もっとも大切な時刻の視認性という役割をしっかりと果たす。

  この完成された造形美が、機能性とエレガンスの融合を生み出し、21世紀の都市に暮らす我々の腕を華やかに彩るのである。



取材・文:名畑政治 / Report&Text:Masaharu Nabata
写真:江藤義典 / Photo:Yoshinori Eto


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