ここ数年のロジェ・デュブイ(ROGER DUBUIS)には激動という言葉がピッタリだった。リシュモン グループの傘下に収まった彼らがまず行ったのは、コレクションの整理。「オマージュ」や「シンパシー」など、初期の看板モデルは次々とディスコンとなり、"全てが限定生産"というコンセプトも止めた。
さらにIWCとの兼任CEOとしてジョージ・カーン氏が就任。リシュモン グループきっての切れ者の登板によって、ロジェ・デュブイの再出発が本格化した。
ブランドを再構築するにあたって大切にしたのは、マニュファクチュールとしての実力とラグジュアリーなイメージ。そこでムーブメントのR&Dは継続し、的確なコストダウンを進める一方で、ジュネーブ・シールとCOSC認定クロノメーターを両方取得して、クオリティの高さをアピールする。
さらに新たなコレクションが持つ世界観は、華やかなデザインと明確なキーワードで印象を作っている。
昨年(2011年)登場した「モネガスク(MONEGASQUE)」には"プレイヤー"という華やかなキーワードがあり、その前から継続している「エクスカリバー」のキーワードは"ウォリアー(戦士)"。さらに今年は2つの新生コレクションが追加された。
ひとつは今年のメインモデルとなる「パルジョン(PULSION)」。キーワードは"ベンチャラー(冒険者)"で、冒険心を掻き立てるスポーティなデザインが特徴だ。そしてレディスオンリーのコレクション「ベルベット(VELVET)」は"ディーバ"というキーワードを持ち、パッションに溢れたデザインで魅了する。
これによってロジェ・デュブイは4つの柱が完成し、新生ロジェ・デュブイは本格的に始動することになる。
もちろん全てが新しくなるわけでなく、ブランド名にもなった時計師ロジェ・デュブイ氏がアンバサダーとして復帰したこともアナウンスされたのもニュースだった。
2012年2月からは新CEOとして就任したジャン・マルク・ポントルエ氏は、未来と過去をどうやってつないでいくのか…。それは今度の楽しみにとっておこう。