バックス&ストラウス(BACKES&STRAUSS)は、1789年にロンドンで創業された世界屈指のダイヤモンド商であり、フランク・ミュラー(FRANCK MULLER)を始めとした、有名なウォッチメーカーにもダイヤモンドを供給してきた会社だ。同ブランドのダイヤモンドはとりわけカッティングに特徴があり、58面体にカットされたダイヤモンドをルーペでのぞくと<ハート&アロー(ハートと矢)>が浮かび上がる、<アイデアル(理想的な)・カット>が施されている。これにより反射する光が綺麗にまわりこみ、豪奢なきらめきを演出するのだ。繊細なパヴェダイヤであれ、大ぶりなバゲットダイヤであれ、ひと粒ひと粒にこの高度なカッティングを徹底。バックス&ストラウスのカッティング職人は、通常の10倍の時間をダイヤモンドの切り出しに費やすのだという。
2007年からフランク・ミュラー ウォッチランドへの参加を表明したバックス&ストラウスは、それを機に<ダイヤモンドを美しくみせる>ことを最重要視した、とびきりゴージャスな時計を製作し始める。現在はラウンド、八角形、オーバル(楕円)のケースをもつ三つの基本ラインを展開。2009年のWPHHでは、207個ものダイヤモンドがセッティングされたハイエンドウォッチや、ブラックボディに包まれた八角形ケース「バークレイ」ラインの「ブラックナイト」など、各コレクションからニューバージョンが披露された。
<ダイヤモンドのための時計>という姿勢を貫きながら、ウォッチランドの充実した“時計力”に支えられたバックス&ストラウスのウォッチメイキングは、時計メーカーや他のジュエラーのそれとも違った、全く新しいベクトルを示しているようだ。