多くの時計ブランドが中国など新興市場の売り上げに依存している現在の時計業界。しかし、リシャール・ミル(Richard Mille)は新興市場だけでなく、時計文化が成熟したヨーロッパや日本などでも好調なセールスを記録し続けている。
「2011年は、これまでで最大の販売を達成し、最高の成長率を記録しました。しかし、数字にはこだわってはいません。時計業界ではこの数字(売り上げ)に追われ、新作を開発している会社が多いように思いますが、それではいいものができないでしょう。そもそも私は、仕事を苦痛に思ったことがないんです。いつも楽しんで働いていますから、ストレスはないし、毎晩、よく眠れますよ」と熱く語るのはリシャール・ミル氏本人。この言葉からも「リシャール・ミル」の好調ぶりが伺える。
絶好調のリシャール・ミルが、2012年のSIHHで発表した新作は6型。そして新型ムーブメントは5つにのぼる。いずれもリシャール・ミルらしい大胆な外観と独創的な機能を追求したモデルだが、中でも話題となっているのが、リシャール・ミル初の完全自社開発ムーブメントである「Cal.CRMA1」を搭載する「RM 037 オートマチック」だ。
このモデルには、これまでリシャール・ミルが開発してきた数々のアイデア、すなわちチタン製の地板とブリッジ、両面無反射コーティングを施したサファイヤ製文字盤、可変慣性モーメント・ローター(新型)、ファンクション・セレクターなどが搭載され、さらにこの新作のために開発された新機軸のリューズ機構が採用されている。
待望の自社開発ムーブメントの完成によって新たな第一歩を踏み出したリシャール・ミル。しかし、マニュファクチュール化は目的ではなく、あくまでも前進のためのひとつの手段。このムーブメントをベースに、さらなる展開が楽しみだ。