
毎年登場する新興時計ブランドの中で頭角を現すのは至難の業だが、時としてブレイクスルーは時計以外の世界からもたらされる。その希な成功例として挙げられるのが「ドゥ グリソゴノ(de GRISOGONO)」だ。元々は創設者兼クリエイターであるイタリア人ファワズ・グルオジ氏が1995年に設立したジュエラーで、初の時計コレクションの発表は2000年のバーゼルでのこと。このグルオジ氏、1990年代当時は宝飾界で見向きもされなかったブラック・ダイヤモンドに着目し、自社コレクションへの積極的な採用でこの市場価値を高めた実績を持つ。つまり業界の常識に囚われない人物である。
2000年のデビュー・モデルとなった「ウノ(UNO)」は、デュアルタイム機構とカレンダーを装備したレクタンギュラー・モデルで、デビューと同時にすでに定番品の貫禄が備わっていた。ドゥ グリソゴノの真価は秀逸なデザインとメカニズムや素材との融合にかかっているが、その好例が2008年発表の「メカニコDG(MECCANICO DG)」である。これは小さなバーを組み合わせることでデジタル式時刻表示を可能にした機械式デジタル時計で、その発想にも驚愕するが実現化した技術力にも舌を巻いた。