
2001年の誕生とともに、ラグジュアリーであるだけでなく<時計界のF1>と呼ばれるリシャール・ミルの超絶時計の機構の数々は、常に時計業界の話題を牽引してきました。そんなリシャール・ミルに、日本のディストリビューターである東京・銀座にある<RICHARD  MILLE GINZA>の重田英輔氏が、ジュネーブ・フォーシーズンスホテルで行われた新作発表会において、リシャール・ミル氏と2008年のリシャール・ミルについて語る。
                
              

              重田氏(以下S)「今年も非常に重厚、かつリシャール・ミルらしい新作が出ていますね。非常にメカニックなものはもちろん、ラグジュアリーなジュエリーを贅沢にふんだんにあしらったものまで。」
              
              リシャール・ミル氏(以下R)「ええ。その中でも特に今年は、このポケットウォッチが一番の目玉ですね。」
            
            
            S 「今まで複雑でラグジュアリー、そして大変現代的な腕時計を発表して来たのに、今回はなぜまた<懐中時計>という形で新作を出そうとしたのですか?」
              
              
              R「もちろん現代は腕時計の方が主流ですし、どのメゾン、ブランドも新作を発表するとなると、腕時計を作りますね。私たちもそうでした。そして今、当たり前のようにトゥールビヨンを搭載した時計がどのブランドからも出ています。トゥールビヨンがなぜ生まれたか、ご存知ですよね?」
              
              
              S「ええ。トゥールビヨンが誕生した18世紀は、携帯する時計といえば懐中時計で、時計は普段はポケットに縦にしまわれています。そのため、時計のムーブメントはその重みで自然と常に片寄った方に引っ張られ、精度が安定しない。それを解消するために生まれたのが・・・・・・。」
              
              R「その通り。そうですね、トゥールビヨンは機械の重力による偏りで起こる精度の不安定を調節するために生まれた機構です。ですから、そもそも懐中時計のために生まれた機構、この原点に我々は立ち返ろうと思ったのです。」
              
            
              
              S「なるほど!このポケットウォッチにはそういう意味が込められているんですね。」
              
              R「また原点に帰るだけではなく、ポケットウォッチの新時代を作りたいと思っているんです。」
              
              S「それは具体的には?」
              
              R「今までどうしてもポケットウォッチはクラシカルで大人しいイメージがあったと思いますが、我々は
              今までに無い大きさとチェーン、ご覧いただくと分かると思いますが、迫力があって、なおかつ現代的であることを心掛けました。例えばジーンズに合わせても、このチェーンであれば何ら違和感がありませんよね。つまりこれは<実用性>という部分にも通じるのです。」
              
ポケットウォッチ
            
リシャール・ミル初の懐中時計。クラシックさを追いかけるのではなく、現代的、男性的なデザインです。本来ポケットに入れて持ち歩くために必要とされたトゥールビヨンという機構の原点に戻りながら、新たにリシャールらしく創造したのがこのポケットウォッチ。チェーンが非常に斬新です。付属のスタンドもあるので、置き時計としても使用できるようになっています。