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GRAND PRIX D'HORLOGERIE DE GENÈVE 2021「ジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリ 2021」21年目のターニング・ポイントを迎えて顕在化したその功績と課題 03

第21回GPHG 2021
全受賞ブランドの分析と過去受賞歴_Part.1

GPHG 2021の“Aiguille d'Or”Grand Prix(“金の針”大賞)を受賞したブルガリの「オクト フィニッシモ パーペチュアル カレンダー」

2021年第21回「ジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリ(GPHG)」で“Aiguille d'Or”Grand Prix(“金の針”大賞)を受賞したブルガリの「オクト フィニッシモ パーペチュアル カレンダー」。2014年の初受賞後、7回目の受賞で見事ブルガリは最高賞を獲得した。

“Aiguille d'Or”Grand Prix(“金の針”大賞)

BVLGARI(ブルガリ)
Octo Finissimo Perpetual Calendar
(オクト フィニッシモ パーペチュアル カレンダー)

  • BVLGARI(ブルガリ)Octo Finissimo Perpetual Calendar(オクト フィニッシモ パーペチュアル カレンダー)
  • ブルガリ7番目の世界最薄記録を打ち立てた、世界最薄の自動巻き永久カレンダー「オクト フィニッシモ パーペチュアル カレンダー」がジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリ(GPHG。以下同)2021年の“金の針”大賞を受賞。マイクロローター採用の自社設計・製造ムーブメントの自動巻きCal.BVL305の厚さはわずか5.8mm。永久カレンダーの各表示計をバランスのとれたシンメトリックな構成でまとめているのも特徴。今回の受賞は2014年「Diva High Jewellery Emeralds」でジュエリーウォッチ賞受賞の初受賞から数えてちょうど7番目の栄誉となる。さらに2019年の2部門ダブル受賞(クロノグラフウォッチ賞とジュエリーウォッチ賞)から3年連続の受賞は、現在のブルガリの勢いを表している。

    Ref.SAP103200
    ケース径:40.0mm
    ケース厚:5.8mm
    ケース素材:チタン(サンドブラスト加工)
    ストラップ:チタン(サンドブラスト加工)、フォールディングバックル
    防水性:30m
    ムーブメント:自動巻き、Cal.BVL305、60時間パワーリザーブ、毎時21,600振動、30石
    仕様:時・分表示、日、曜日、月、うるう年のレトログラード表示、シースルーバック
    予価:7,161,000円円(税込)


Men's Watch Prize(メンズウォッチ賞)

GRAND SEIKO(グランドセイコー)
Hi-Beat 36000 80 hours Caliber 9SA5
(メカニカルハイビート36000 80 hours「キャリバー9SA5」)

  • GRAND SEIKO(グランドセイコー)Hi-Beat 36000 80 hours Caliber 9SA5(メカニカルハイビート36000 80 hours「キャリバー9SA5」)
  • グランドセイコー誕生60周年を記念し2020年3月に発表された次世代ムーブメント、Cal.9SA5を搭載したレギュラーモデル。デュアルインパルス脱進機やツインバレルの採用で、毎時36,000振動の高振動ながら約80時間のパワーリザーブを実現。ダイアルは「グランドセイコースタジオ 雫石」近くにある日本有数の白樺群生地をイメージ。セイコーは2006年「The “Electronic Ink” Watch」の初受賞以来、6つ目の受賞。特に2014年の「グランドセイコー メカニカルハイビート 36000 GMT 9Sメカニカル」で“小さな針”賞、2018年はスポーツウォッチ賞、2019年はダイバーズウォッチ賞を各々プロスペックスが受賞しているので、まさに破竹の勢いである。

    Ref.SLGH005
    ケース径:40.0mm
    ケース厚:11.7mm
    ケース素材:ステンレススティール
    ストラップ:ステンレススティール
    防水性:日常生活用強化防水(10気圧)
    ムーブメント:自動巻(手巻つき)、Cal.9SA5、毎時36,000振動、パワーリザーブ最大巻上時約80時間、47石
    仕様:時・分・秒・日付表示
    価格:1,045,000円(税込)


Ladies' Watch Prize(レディスウォッチ賞)

PIAGET(ピアジェ)
Limelight Gala Precious Rainbow
(ライムライト ガラ プレシャス レインボー)

  • PIAGET(ピアジェ)Limelight Gala Precious Rainbow(ライムライト ガラ プレシャス レインボー)
  • 1970年代登場の「ライムライト ガラ」コレクション初となるレインボーセッティング・モデル。ベゼルとラグにはラウンドブリリアントカットされた5個のツァボライト(グリーン・ガーネットのこと。約0.91ct)と、レッド、オレンジ、イエロー、ブルー、インディゴ、バイオレットの37個のラウンドブリリアントカット・カラーサファイア(約7.90ct)がセット。ダイアルとブレスレットにはピアジェ独創の金細工技法「パレス装飾」が施され、さらに自社ムーブメントの自動巻き、Cal.501P1を搭載。薄型機械式時計の先駆者のこだわりを外装・内部にわたり貫いている。今回の2021年GPHGでメカニカル・エクスセプション賞の「アルティプラノ アルティメート オートマティック」と共にダブル受賞となったピアジェは、2002年の初受賞(「Piaget 1967」でデザインウォッチ賞)より数えて計12回もの受賞成績。これは受賞ブランド中でも2番目の多さだ。

    Ref.PGG0A46188
    ケース径:32.00mm
    ケース厚:9.98mm
    ケース素材:18Kピンクゴールド
    ストラップ:18Kピンクゴールド(パレス装飾)
    防水性:3気圧防水
    ムーブメント:自動巻き、Cal.501P1、パワーリザーブ42時間
    仕様:時・分表示
    価格:12,320,000円(税込)


Men's Complication Watch Prize
(メンズ・コンプリケーションウォッチ賞)

MB&F
LMX Titanium(LMX チタニウム)

MB&F LMX Titanium(LMX チタニウム)

2011年発表の「Legacy Machine No.1(レガシーマシン No.1)」誕生10周年記念モデル。当時のインタビューで「スタートレックのようなSF世界のガジェットが好きだ」と述べた創設者マキシミリアン・ブッサ氏の世界観が炸裂したモデル。今やMB&Fお得意のサファイアクリスタル製ドーム型時計で、中央のフライングバランスホイールを軸にホワイトラッカーダイアルが左右に並ぶ。12時にはドーム型パワーリザーブ計を備え、“1~7”と“M~S(Monday~Sunday)”の2種類の選択型表示計で168時間(1週間)のパワーリザーブを表示。MB&Fは2010年に「HM No4 Thunderbolt」のデザインウォッチ賞で初受賞。今回で6回目の受賞。

Ref. 08.TL.G
ケース径:44.0mm
ケース厚:21.4mm
ケース素材:チタン
ストラップ:レザー
防水性:30m
ムーブメント:手巻き、毎時18,000振動、パワーリザーブ168時間(7日間)
仕様:時・分・日付・パワーリザーブ表示、デュアルタイム
価格:106,000CHF(スイスフラン。約13,144,000円。1CHF=124円で換算。以下同)


Ladies' Complication Watch Prize
(レディス・コンプリケーションウォッチ賞)

VAN CLEEF & ARPELS(ヴァン クリーフ&アーペル)
Lady Féerie Watch(レディ フェアリー ウォッチ)

  • VAN CLEEF & ARPELS(ヴァン クリーフ&アーペル)Lady Feerie Watch(レディ フェアリー ウォッチ)
  • ヴァン クリーフ&アーペル(VC&A)お家芸のひとつである、レトログラードとジャンピングアワーによるポエティック コンプリケーション コレクション。今回もジャンピングアワーとレトログラードという複雑機構を駆使、この詩心溢れるシリーズは他の追随を許さないVC&Aの至高の技である。2005年「Secret」(レディスウォッチ賞)での初受賞後、2010年以降はコンスタントに受賞を重ね、受賞カテゴリーがジュエリーウォッチ賞とレディスウォッチ賞(コンプリケーション賞含む)、アーティスティック・クラフト賞に集中しているのは流石メゾンの底力を認識させられる。受賞回数は今回で10回目だ。

    Ref.VCARO8ZD00
    ケース径:33mm
    ケース素材:18Kホワイトゴールド
    ストラップ:ホワイトアリゲーター(交換可能)、アルディロン バックル
    防水性:3気圧
    ムーブメント:自動巻き、Cal.ヴァルフルリエQ020X、パワーリザーブ36時間、ジャンピングアワー、レトログラード
    仕様:時・分表示、シースルーバック
    価格:12,540,000 円(税込)


Iconic Watch Prize(アイコニックウォッチ賞)

AUDEMARS PIGUET(オーデマ ピゲ)
Royal Oak “Jumbo” Extra-Thin
(ロイヤル オーク“ジャンボ”エクストラ シン)

1972年初登場のロイヤル オークに採用された自動巻きムーブメント、Cal.2121搭載。2022年より当モデルは次世代ムーブメントへ換装されるので、このサンバースト模様のスモーク グリーンダイアルはCal.2121最終搭載モデルのひとつ。今回のGPHGと同時期に開催された第9回「オンリーウォッチ」でも、当ムーブメント搭載のユニークピースが落札価格第3位の310万スイスフラン(約3億8,440万円)で落札されている。オーデマ ピゲは2001年の第1回GPHGでの「Répétition Minute par Carillon Edward Piguet」でコンプリケーションウォッチ賞を受賞して以来、今回の2021年第21回を含み計15回もの受賞を誇る。これは受賞ブランド中で最多の受賞歴である。

Ref.15202PT.OO.1240PT.01
ケース径:39.0mm
ケース厚:8.1mm
ケース素材:プラチナ950
ストラップ:プラチナ950、APフォールディングバックル
防水性:50m
ムーブメント:自動巻き、Cal.2121、毎時19,800振動、パワーリザーブ約40時間、36石、部品数247
仕様:時・分・日付表示、サンバースト模様のスモーク グリーンダイアル
限定:APハウス限定販売
価格:13,145,000円(税込)


Tourbillon Watch Prize(トゥールビヨンウォッチ賞)

DE BETHUNE(ドゥ ベトゥーン)
DB Kind of Two Tourbillon
(DB カインド・オブ・トゥー・トゥールビヨン)

一時期、日本にも輸入代理店が存在したドゥ ベトゥーンは、2002年にデヴィッド・ザネッタ氏と時計師デニス・フラジョレ氏により創立。工房の母体は「THA」、ブランド名は仏の宮廷時計師であり1727年に画期的な脱進機“エ・シャックマン・ドゥ・ベトゥーン”を開発した時計師から名付けられた。球体型ムーンフェイズが特徴だが、2種類のトゥールビヨンを装備する今回の「DB Kind of Two Tourbillon」は、回転ケースにより表裏2面のダイアルを展開、クラシックとモダンな二面性を持つ時計を完成させた。また毎時36,000振動ながら5日間というパワーリザーブも驚異的。ドゥ ベトゥーンは2011年「DB28」でいきなり“小さな針”賞を受賞し、今回で4回目の受賞となる。2回目(2014年)と3回目(2018年)の受賞が各々「クロノグラフ賞」と「クロノメトリー賞」というのも、当ブランドの立ち位置を明確に示している。

Ref.DBK2TV1
ケース径:42.8mm
ケース厚:9.5mm
ケース素材:チタン(グレード5、ポリッシュ仕上げ)
ストラップ:アリゲーターレザー
防水性:不明
ムーブメント:手巻き、Cal.DB2579、毎時36,000振動、パワーリザーブ5日間、32石、ダブルトゥールビヨン
仕様:時・分・秒のデュアルディスプレイ(フロント&バック)
価格:215,000CHF(スイスフラン。約26,660,000円)


Calendar and Astronomy Watch Prize(カレンダー&天文時計賞)

Christiaan Van Der Klaauw
(クリスティアン・ファン・デル・クラウ)
CVDK Planetarium Eise Eisinga
(CVDK プラネタリウム エイセ・エイシンガ)

AHCI(独立時計創作家協会、通称アカデミー)会員であり、天文時計に魅せられたオランダの時計師クリスティアン・ファン・デル・クラウが自身の名を冠して1974年に創立した工房。今回のGPHGが初受賞となる「CVDKプラネタリウム エイセ・エイシンガ」は、現在でも稼働可能な世界最古の機械式プラネタリウムの発明者である、オランダのエイセ・エイシンガを顕彰するモデル。羊毛梳毛(そもう)業者兼アマチュア天文家であった同国フラネケル市の旧エイシンガ邸には、彼が天井に製作・設置したプラネタリウムが現存する。当モデルはこれをダイアル上に再現した世界最小のプラネタリウム。手作業により描かれた太陽系の水星・金星・地球・火星・木星・土星がリアルタイムに軌道する。

Ref.18Kローズゴールド
ケース径:40mm
ケース素材:18Kローズゴールド
ストラップ:ブラックレザー
ムーブメント:自動巻き、Cal.CVDK7836、パワーリザーブ96時間、世界最小プラネタリウム、アニュアルカレンダー
仕様:時・分表示
参考価格:58,450EUR(ユーロ。約7,540,050円。1EUR=129円で換算)


Mechanical Exception Watch Prize
(メカニカル・エクスセプション賞)

PIAGET(ピアジェ)
Altiplano Ultimate Automatic
(アルティプラノ アルティメート・オートマティック)

  • PIAGET(ピアジェ)Altiplano Ultimate Automatic(アルティプラノ アルティメート・オートマティック)
  • 2018年に「アルティプラノ アルティメート・コンセプト」と同時発表された「アルティプラノ アルティメート・オートマティック」は、2014年誕生の900Pモデルを3年間の研究期間を経て自動巻きへと進化、ペリフェラルローターや時計の裏蓋部分に歯車等パーツを直接組み込むことで、ケース厚4.3mmを実現した究極の自動巻き薄型時計。初受賞となった2002年の「ピアジェ 1967」(デザインウォッチ賞)以降、今回が12回目の受賞となり受賞全75ブランド中第2位となる(人物や組織は除外)。その中でも特筆すべきは、2020年の第20回GPHGにおける「アルティプラノ アルティメート コンセプト」の“小さな針”賞だ。第21回の今回はレディスウォッチ賞も受賞しており、ピアジェはメンズ・レディスの両輪で大輪の花を咲かせている。

    Ref.PGG0A45123
    ケース径:41.0mm
    ケース厚:4.3mm
    ケース素材:18Kホワイトゴールド
    ストラップ:ブラックアリゲーター
    防水性:2気圧
    ムーブメント:自動巻き、Cal.910P、毎時21,600振動、パワーリザーブ50時間、部品数238、30石
    仕様:時・分表示
    価格:3,762,000円(税込)