VACHERON CONSTANTIN丁寧な時計作りに現れるジュネーブ時計文化の庇護者としての矜持 02
#2
革新なくして伝統は守れない。
進化するウォッチメイキング

マニュファクチュールは数あれど、ひげゼンマイまで自社製というブランドはそれほど多くはない。ヴァシュロン・コンスタンタンでは、独立性を保つためにこの難問に挑んだ。
267年の歴史を持つヴァシュロン・コンスタンタンでは、伝統的な時計製造技術を継承する一方で新たな進化を始めている。それはテンプを振動させる心臓部の素材「ひげゼンマイ」の開発だ。弾性や温度変化、耐磁など様々な性能が求められるひげゼンマイは、高度な金属工学を用いて製造される。そのため多くのスイス時計ブランドでは専門会社から購入することが多かった。しかしヴァシュロン・コンスタンタンでは、より高度なウォッチメイキングを目指し、2016年から内製化を推進している。
「時計パーツの中でも、このひげゼンマイは専門家の領域です。ヴァシュロン・コンスタンタンでは、特別なスティールを使用し、耐磁性能も持たせています。現在はまだごく一部のムーブメントのみに採用していますが、将来的には全モデルに搭載することを目指します」(ユベール氏)
続いては組み立てのセクションを見学する。このプラン・レ・ワット(プラン=レ=ズゥアト)のマニュファクチュールには、約200名の時計師が在籍しており、さらジュウ溪谷にあるマニュファクチュールにも約200人の時計師が仕事をしている。
時計師はキャリアに応じて3カテゴリーに分かれている。キャリアを始めたばかりの時計師は、シンプルなベースムーブメントの組み立てを担当することになり、ここで5~10年ほど経験を積むと、モジュール部門へと異動する。ここではパーペチュアルカレンダーなどの複雑なモジュールをベースムーブメントへと組み込む工程を任される。複雑かつ繊細なメカニズムを理解したうえで、十数時間かけて調整を行うため、かなりの知識と経験が求められる。ちなみにこの部門の中でも、クロノグラフムーブメントと超薄型ムーブメント別扱いとなっており、さらに高難度の時計として考えられている。
この部門で研鑽を積むと、次はコンプリケーション部門となる。トゥールビヨン機構を担当する時計師が多く、日本人時計師も1名所属している。ちなみにグランドコンプリケーションを組み立てることができる時計師となると、5名ほどしかいないという。またチャイミングウォッチも凄腕の時計師のみが担当でき、組み立てから音の調整までの全ての工程を手掛ける。
15年から20年ほどのキャリアを持つ時計師が多いが、実力があればもっと若くしてこの部門に異動してくる時計師もいるそう。またヴァシュロン・コンスタンタンとしてもなるべく若い世代を起用してモチベーションを高め、技術の継承を進めていきたいという考えもあるそうだ。
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(月曜日から金曜日 午前11時~午後7時)
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