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OMEGA  素材の見直しにより実現した 15,000ガウスの超耐磁性能

素材の見直しにより実現した 15,000ガウスの超耐磁性能

METASが実施する「マスター クロノメーター」の検定では、日常使用を想定した検査も行う。パワーリザーブ検査ではゼンマイが完全に巻き上げられた状態とほどけた状態の写真を撮り、機能を確認する。

  2015年のバーゼルワールドで発表されたオメガの「コンステレーション グローブマスター」とMETASが設定した「マスター クロノメーター」という新たな検定制度。その意図とは何か?


「すべての始まりは1993年にスウォッチ グループのニコラス・ハイエック会長(当時)と、英国の時計師ジョージ・ダニエルズ博士の出会いでした。ダニエルズ博士は自身の開発したコーアクシャル脱進機を手にスイスの各社を訪問しましたが、すべてに断られ、最後にやってきたのがオメガでした。


  ハイエック会長はその提案を聞いて博士の話を信じ、“オメガで、この新しい技術を製品に反映させよう!”と約束したのです。しかし、脱進機の部品が小さいため、当時の技術者たちは『そんなことは到底、不可能だ』となかなか信じてはくれませんでした。


  しかし1999年、オメガはコーアクシャル脱進機を搭載した最初のモデルを限定版として発表し、2年後には本格的な生産を開始しました。これは革命的な取り組みでした。


  その後、2013年までに「ムーンウォッチ(スピードマスター プロフェッショナル)」以外、オメガのほぼすべての製品がコーアクシャル化されました。


  次に我々が行った改革は、2008年に発表されたシリコン製ひげぜんまいです。これにより耐磁性ムーブメントの歴史が始まったといえるでしょう。


  当時、私はハイエック会長から『次の時代の時計は何だ?』と聞かれ、『それは耐磁性のある時計です』と答えました。すると彼は『よし、やってみろ』とゴーサインを出してくれたのです。しかし、これは非常に大変な取り組みでした。


  私たちは、さまざまな調査を行いました。その結果、私はこれからの腕時計には、15,000ガウスの耐磁性を設定したいと考えました。なぜなら医療機器のMRIの部屋がこれだけの磁力があったからです。しかし開発室は『そんな耐磁性なんて聞いたことがない。完全にクレイジーだ!』と私の提案を拒絶しました。


  しかし私はねばりました。『とにかく15,000ガウスの耐磁性が欲しい。しかし、シーリーング(磁力遮断)のケージを入れてしまっては日付が見えない。だからケージなしで耐磁性のある時計を作りたいんだ!』と彼らに訴え続けたのです。


  この言葉が技術者を刺激し、ついにアイデアが出てきました。それはムーブメントの部品自体に耐磁性を持たせる、というものでした。


  こうしてついに解決策が見出され、2013年に発表した『シーマスター アクアテラ“15,000 ガウス”』が完成したのです。これは世界初の15,000ガウスの耐磁腕時計であり、素晴らしい改革が実現しました。


  しかし、この製品の発売により、我々には新たな問題が発生しました。それは通常より優れた性能を持つことを、どう伝えていくのかということです。


  また、オメガとしても新しい検定制度の必要性を感じていました。それは現在の競争の激しさを考えるとより強い説得力が必要だから。既存の検定制度の多くは、すでに物足りなく、第三者機関による新しい検定制度が必要だと判断したのです。


  そこで我々はCOSCに『スーパークロノメーターの規格を作り、認定してほしい』と依頼しましたが拒否されました。簡単にいえば他社が同様の規格をすでに進めていたからです」



取材・文:名畑政治 / Report&Text:Masaharu Nabata
協力:スウォッチ グループ ジャパン オメガ事業部 / Special thanks to:Swatch Group Japan OMEGA Division


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