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Swiss Watch Confidential Vol.23  ポケットウォッチにクロノグラフ

ポケットウォッチにクロノグラフ

 ポケットウォッチで驚かせたのは、ロジェ・デュブイとボーム&メルシエだ。ロジェ・デュブイは4個のテンプが備わる「エクスカリバー クアトゥオール」のムーブメントを用い、今年のテーマ“アストラルスケルトンイヤー”に合わせ、スパイダーコンセプトによる「エクスカリバー スパイダー ポケットタイム インストルメント」を発表。一方のボーム&メルシエが披露したのは、スケルトン仕様の複雑ムーブメントを搭載する気品豊かな「クリフトン 1830 ファイブミニッツリピーター ポケットウォッチ」だ。近未来のアバンギャルドと優美でクラシカルな味わいという好対照を成す2点だが、機構といい、独特の美学といい、時計好きにはどちらも興味深い新作だ。


  クロノグラフでは、3つの新作に注目した。IWCでは意外にも初というモノプッシャー式の「ポートフィノ・ハンドワインド・モノプッシャー」、1955年のアイコニックなクロノグラフを復刻したヴァシュロン・コンスタンタンの「ヒストリーク・コルヌ・ドゥ・ヴァッシュ1955」、そしてシルバー無垢の文字盤を美しいブルーで彩ったA.ランゲ&ゾーネ「1815 クロノグラフ」だ。いずれも高級時計の素晴らしさを伝える逸品である。


  アート・ダイアルの斬新な技法に挑戦したヴァン クリーフ&アーペルの新作も十分に見応えがあった。ハードストーンの象嵌と鳥の羽による“ミニアチュールフェザーアート”と呼ばれる特殊な技法を使った「レディ アーペル マルタン ペシュール アズール」は、もはや工芸的な宝飾ダイアルを超えた芸術作品である。


  ワン&オンリーの個性を強烈に放っていたのは、リシャール・ミル。言葉で女性を誘惑するという奇天烈な複雑機構が備わる「RM 69 トゥールビヨン エロティック」や、未知のハイテク素材を駆使した「RM 27-02 トゥールビヨン“ラファエル・ナダル”」といった新作は、奇才の面目躍如といったところだ。


  かくも盛大で見応え十分なW&Wだが、来年の香港での第4回開催は未定という噂が会場に飛び交っていたこともまた、別の「驚き」だった。アジア市場の先行き不透明感が背後にあるのは明らかだとはいえ、これで幕を閉じることがないよう祈るばかりだ。



構成・文:菅原 茂 / Composition&Text:Shigeru Sugawara


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