G-SHOCK MRG-BF1000RG-3AJR
フロッグマン 【Vol.2】
「MR-G FROGMAN」が生まれる場所
「プレミアム プロダクション ライン」


一般的にダイバーズウォッチは、ケース構造をシンプル化することで気密性を高め、防水性能を高める。
しかし「MR-G FROGMAN」が、あえて多パーツ構造ケースを採用したのは、不可能を可能にする技術があるから。
カシオグループ国内唯一の製造拠点である「山形カシオ」にある「プレミアム プロダクションライン」は、先端技術と匠の技が融合することで、機能とデザインの両面で、最高峰のG-SHOCKを生み出している。


東根市にある山形カシオ

東根市にある山形カシオ


MR-G FROGMANは山形で生まれる


 1979年に創立した山形カシオは、自動化技術、感性のデジタル化、高精度加工技術、仮想検証技術、伝承技能の5つのコアを進化させることで、カシオのものづくりを支えている。「プレミアム プロダクションライン(Premium Production Line)」は、まさにその中心にあるものであり、「MR-G FROGMAN」はここで製作されている。


東根市にある山形カシオ。近代的な工場では、時計以外にもさまざまなカシオの製品を製造している。

東根市にある山形カシオ。近代的な工場では、時計以外にもさまざまなカシオの製品を製造している。


 そもそも山形カシオでMR-Gの生産が始まったのは、シリーズ初号機である「MRG-100」(1996年発売)からだ。それまでのG-SHOCKは、樹脂製の外装パーツが重要な耐衝撃構造を担っていた。しかし外装をフルメタル化するということは、これまでとは全く異なる生産技術が求められる。

スタッフたちは、白衣を着て作業を行う。

スタッフたちは、白衣を着て作業を行う。


 そこで山形カシオでは、新たな生産ラインを整えることになった。さらに搭載するモジュール(ムーブメント)も、電波時計マルチバンド化や通信機能搭載など高機能化していくにつれて、検査方法や製造管理も進化する必要があった。


小さなパーツの組み込みも手作業。機械と人間の融合から、MR-G FROGMANは生まれる。

小さなパーツの組み込みも手作業。機械と人間の融合から、MR-G FROGMANは生まれる。


 その過程で整備されたのが、通称PPLと呼ばれる「プレミアム プロダクションライン(Premium Production Line)」だ。それまでの製造ラインは、多くの工程に人の手が関わるため、品質の安定や生産効率の向上には限界があった。しかし現在はセンサーやカメラを導入し、またフレキシブル化を進めることで、他モデルに比べると非常に少ないMR-Gの製造本数にも対応できる製造ラインへと進化した。

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MR-G FROGMANは信頼性の高い計器


 カシオでは新しい技術が開発されるたびに、まずは山形カシオとPPLに打診し、技術的に製造可能か、その方法はどうするのかなどを話し合う。つまり進化するMR-Gに合わせて、PPLも進化してきたということになる。しかしMR-G FROGMANの製作はかなり困難だったという。


 ISOダイバーズウォッチの規格であるISO6425では、かなり細かい部分まで要求される性能が決まっているが、特に重要なのが「防水性能」と「防水検査」。


防水チェックは、かなり重要な行程となる。

防水チェックは、かなり重要な行程となる。


 例えばわずかな塵がガスケットパッキンに付着しただけで、ISO規格の防水性は得られない。PPLはクリーンルーム内に設置されるのだが、組み立て工程にはスーパークリーンベンチと呼ばれる装置を設置して、塵を極限まで排除。さらに顕微鏡を使ってゴミ取りをしている。MR-GはG-SHOCKの最高峰であるため、ユーザーの要求レベルも高い。それに応えるためには、そこまでやらなければならないのだ。


ケースバッグを締め込むための機具。こういったものも自社で製造している。

ケースバッグを締め込むための機具。こういったものも自社で製造している。


 また防水検査も、他のMR-G以上に念入り。すべてのMR-Gの時計を空気圧タンクと水没タンクに入れて防水検査を行い、その工程を2回繰り返してから検査を行う。ちなみに防水性能のカギを握るケースバックはスクリューバック式なのだが、ここは職人が機械を使って同トルクで締める。念には念を入れ、防水テストの後にもう一度締めるそうで、ここまでしてようやくMR-G FROGMANの完璧な防水機能が実現するのだ。



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デザインを実現させる高度な技術


 MR-G FROGMANの難しさは他にもある。G-SHOCKの最高峰であるMR-Gは、タフで高性能な時計だけで終わってはいけない。そのクラスに見合った質感も求められる。つまりダイバーズウォッチの厳しい規格に準拠しつつ、美しいデザインや高級感ある外装を両立させなければいけないのだ。


パーツの着色は、完全オートメーション。

パーツの着色は、完全オートメーション。


 そのため山形カシオやPPLでは、高精度加工技術を磨き上げた。プロダクションの要となる金型は複雑な造形や多彩な質感を再現できるようになり、美しく加工された複数のパーツを高い精度で組み合わせることを可能にした。


ソリッドな美しさと気密性、耐衝撃性を兼ね備えるクラックガード構造。

ソリッドな美しさと気密性、耐衝撃性を兼ね備えるクラックガード構造。


  もちろん時計の顔ともいえる「文字板」にも力を入れている。MR-G FROGMANは見やすさを重視したマット文字板だが、金型は13ものパーツに分解され、鏡面仕上げと5種類の目付加工を施している。金型の分割線が見えないという高度な加工技術によって、高級感と品格を引き出しているのだ。


ずらっと並ぶ時計モジュールたち。

ずらっと並ぶ時計モジュールたち。


 こういった高級モデルの開発には、コンピューターソフトも駆使される。CAE(コンピュータ支援エンジニアリング) による検証結果を、CAD(コンピュータ支援設計)に組み合わせることで、理想的な設計を導き出す。またCAEでパーツを射出成形する際のシミュレーションを行うことで、金型を作る前に起こりうる可能性がある問題点の対策をすることで、試作から量産までの期間を短縮している。


針の平行を修正するのは、熟練の手技で。(写真はオシアナス)

針の平行を修正するのは、熟練の手技で。(写真はオシアナス)


 さらにインダイヤルなどにポイントで使うカラーパーツの製造工程も進化。ハイテク化しており、ロボットアームによる塗装によって繊細な色調を実現させる。こういった多くのノウハウによって、複雑な多パーツ構造ケースと200m防水を両立させつつ、高級感のあるMR-G FROGMANが生まれるのだ。



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機械・デジタル×職人技=MR-G FROGMAN

  • PPLの作業テーブル
  •  PPLの作業テーブルは、Gの形にレイアウトされており、中心から外側へとぐるりと回るように時計を移動させながら、モジュールの組み込みやダイヤル、針の取り付け、ケーシングなどが行われる。各工程はPPL独自のメダリスト制度で習熟度を高めた熟練の職人が作業しているが、針の取り付けのような繊細なパートには機械を使用する。しかし針の高さを調整する工程は、人間の手作業で行う。最終的に人の手から生まれるのは、高級機械式時計もMR-Gも同様だ。


 MR-G FROGMANは、デジタルや機械と人が融合することで生まれる。山形カシオとPPLはその最前線なのだ。



取材・文 / text:篠田 哲生 / Tetsuo Shinoda
写真 / Photos:江藤 義典 / Yoshinori Eto


MRG-BF1000RG-3AJR


  • MRG-BF1000RG-3AJR
  • MR-G FROGMAN
    MRG-BF1000RG-3AJR

    ケースサイズ:56.0×49.7mm
    ケース厚:18.6mm
    ケース素材:チタン
    ストラップ:デュラソフトバンド(フッ素ラバー)
    防水性:ISO200m潜水用防水
    使用電源:タフソーラー(ソーラー充電システム)、パワーセービング状態の場合:約29ヵ月
    仕様:時・分・秒・日付・曜日表示、モバイルリンク機能(対応携帯電話とのBluetooth通信による機能連動)、アプリ「CASIO WATCHES」対応、ダイビング機能、タイドグラフ、タイマー機能、LEDライト(スーパーイルミネーター、残照機能付き)、フルオートカレンダー、パワーセービング機能、デュアルタイム(27タイムゾーン、サマータイム自動設定機能付き、ホームタイムの時刻入替機能付き)、ストップウオッチ、時刻アラーム、電波受信機能、針退避機能、針位置補正機能
    価格:572,000円(税込)


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INFORMATION

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カシオ計算機株式会社
〒151-8543 東京都渋谷区本町1-6-2
TEL: 0120-088925