70周年限定モデルのモダナイズが示す
オリエントスターのネクストステージ

  洗練された佇まいと高いクオリティを併せ持った国産機械式時計として、1951年のデビュー以来、支持を獲得し続けているオリエントスター。2021年の今年はブランド誕生から70周年の節目にあたり、これを記念した数々の限定ピースが発売されることになった。
「“輝ける星”と呼ばれる機械式時計を作りたい」との願いを込めてその名が付けられたオリエントスターに相応しく、70周年限定モデルでは“宇宙”や“星雲”をモチーフとしたデザインを採用。ブランド立ち上げ当時のアティテュードを改めて明確にするのみならず、デザインをモダンにアップデートすることで、より現代的なファッションとも親和性を高めるブランドへと進化を遂げた。

1951年に発表された初代「オリエントスター」。当初は戦前型のムーブメントを搭載していたが、翌1952年には新設計のムーブメントに置き換わる。

MADE IN JAPANの誇りを持ち
喜びを提供し続けてきたオリエントスターの70年


 1950年に多摩計器を創設して腕時計の製造をスタートし、翌1951年には社名をオリエント時計へと改称。このとき「“輝ける星”と呼ばれる機械式時計を作りたい」という思いから誕生したブランドがオリエントスターだ。初代「オリエントスター」を嚆矢として、同社はその後、数々の意欲的なモデルを発表。そして1971年には、それまでのL型自動巻きムーブメントよりも小型化・薄型化を図るのみならず、精度と耐久性も向上させた46系ムーブメントを完成させた。


 1970年代は、ちょうどクォーツが台頭した時代。機械式時計の製造を主軸としてきた多くの時計メーカーは打撃を受け、それはオリエント時計も例外ではなかった。しかし、そうした状況でも同社は機械式時計製造への情熱を失わず、やがて1990年代に入るとオリエントスターを復活させ、その後は新しい時代にふさわしい機械式モデルを次々と製作。国産機械式時計ブランドとしてのポジションを確立させ、時計愛好家の高い支持を獲得し続けている。


オリエントスターの基幹ムーブメントとして1971年に完成した46系

オリエントスターの基幹ムーブメントとして1971年に完成した46系。同ムーブメントはその後も改良を重ね、現在も多くのモデルに搭載されている。


 2021年で誕生から70年の節目を迎えたオリエントスターは、今なおMADE IN JAPANクオリティを大切にし続けている。それを示すのが、部品開発から組み立てまでを一貫するマニュファクチュールで製造し、あらゆる製造工程を熟練した職人の手作業で行っている点。しかも、製造される時計は機械式ならではの精密なメカニズムを楽しめる独創的なデザインでまとめられ、一方では時刻が判読しやすく装着感にも優れた高い実用性を実現している。ホスピタリティも万全で、メンテナンスは工房の職人の手作業で行われるため、時計を長きにわたって愛用できるのも特筆だろう。


 このように、オリエントスターはクオリティの高い機械式時計を通じて、時計を着ける喜びや魅せる喜び、さらには作り手との繋がりをも実感できる、タイムレスな価値を持ったブランド。その70周年限定として登場する4モデルは、たんにアニバーサリーを祝うタイムピースではなく、現在のライフスタイルに見合ったデザインをラインナップして、新たな価値を提供している。


2021年に誕生した46系F8ムーブメントに採用されているのが、エプソンのMEMS技術によって開発されたシリコン製のガンギ車

2021年に誕生した46系F8ムーブメントに採用されているのが、高精度加工が行えるエプソンのMEMS技術によって開発されたシリコン製のガンギ車。MEMS技術によって表れるシリコンの弾性を利用し、バネ性を持たせた形状を実現。またガンギ車には、歯車の中心にあるカナの歯に合わせた形状を設けることでしっかりと嵌るようになり、回転時のズレも防止できるようになった。そして、酸化膜とポリシリコン膜を施すことで実現した鮮やかなブルーの色合いは、時計のデザインにも大きく寄与する要素。硬質で軽量、しかも耐摩耗性も備えたシリコンの特性によって、時計の精度を高めるだけではなく、デザインのアクセントにもなる独自のガンギ車が完成したのだ。


70周年記念モデルの「スケルトン ~C/2021 A1~」でも、ベゼルやケースの側面などに歪みのない鏡面を確認できる。

70周年記念モデルの「スケルトン ~C/2021 A1~」でも、ベゼルやケースの側面などに歪みのない鏡面を確認できる。


クォーツの台頭を経た1991年、オリエントスター復活の足掛かりとなったのが「モンビジュ」

クォーツの台頭を経た1991年、オリエントスター復活の足掛かりとなったのが「モンビジュ」。審美性を追求したスケルトンはその後、オリエントスターを象徴するデザインに。


>彗星をモチーフとした「スケルトン ~C/2021 A1~」 


取材・文:竹石祐三 / Report & Text:Yuzo Takeishi
写真:江藤義典 / Photos:Yoshinori Eto



※価格は2021年10月15日現在のものです。
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