SIHHのブースは各ブランドの世界観で統一されている。そのためブースのインテリアが変更されるということは、即ちブランドが新しいコンセプトによって動き始めたということ。
2011年のSIHHでは、ロジェ・デュブイ(ROGER DUBUIS)がそのブースを大きく変貌させた。
ブースのインテリア・デザインのイメージは"モナコのカジノ"。今回のために特注したというルーレット台が中央部に置かれ、その台上のチップにはロジェ・デュブイのロゴマークがあしらわれるといった特注デザインになっている(チップを模したUSBメモリも配布された)。
ここまでドラスティックな変化があるなら、新シリーズが登場するのは間違いない…。そんな取材陣の期待に応えるように、発表された「モネガスク」シリーズはデザインも美しく、何よりもロジェ・デュブイらしいオーラがある。
一見しただけで「これは話題になるな…」と感じる出来上がりである。
ロジェ・デュブイがリシュモン グループの傘下に収まってから、2011年で3年目になる。そして同社は本年からの3年間をブランドの再構築に充てるという。
その先兵となるのが新シリーズ「モネガスク」である。モネガスクとは"生粋のモナコ人"を意味する言葉。時計のデザインは、クラシックとモダンを的確に融合させている。
さらにロジェ・デュブイでは前年に引き続いて価格競争力にも力を注ぐ。とはいえ具体的にはムーブメントに使用するローターをゴールド製からメタルに変更にするといった、実利面での変革を行うことが主体なので、時計自体の魅力が薄れることはない。
さらにロジェ・デュブイの特徴であった"限定モデル"は複雑時計やテーマに基づいたモデルに絞り、その一方で通常販売モデルを増やしていく。これもロジェ・デュブイに新しいファン層を招き入れるための準備だ。
取り扱うショップも全世界で200店のみに絞るなど、流通面でも新しい戦略を打ち出しており、新しいロジェ・デュブイ構築への足場は、徐々に固まりつつある。