インダストリアル･デザイナーとして名を成すロドルフ・カトゥン。様々なジャンルの垣根を越えて活躍し、有名なウォッチメーカーの時計も数多く手がけてきた彼がスイス・ルボアに創業したロドルフ（RODOLPHE）は、創業から10年の節目に当たる2006年からフランク・ミュラー ウォッチランドに参加。それまでも斬新なデザインワークを特徴としていたブランドだったが、同グループに加入以降はさらにデザインの自由度を高めたプロダクトをつくり出すようになる。それらの評価は総じて高く、2006年のスイスの時計誌「モントレパッション」のグランプリ獲得に次いで、2008年には第3位を勝ち取るなど、その勢いは留まるところを知らないようだ。
　2009年の新コレクションとしては、初のダイバーズ「パニナロ47 オートマティック・ダイバー」が用意された。3針とクロノグラフのふたつのバリエーションで展開され、文字盤タイプも多彩。はじめに＜デザインありき＞で設計されるロドルフならではの豊かな創造性を発揮したタイムピースは、引き続きユーザーを魅了してくれそうだ。

　昨年発表された、巨大なトゥールビヨンのキャリッジ部分がブランドの頭文字＜R＞になっている、エキセントリックなデザインの「インスティンクト ビッグ トゥールビヨン」。ブラックケースとガルーシャベルトの組み合わせも、強烈なインパクトである。この前衛的なデザインを実現するためにウォッチランドで調達されたムーブメントは、ひとつの香箱で7日間ゼンマイの動力が持続するロングパワーリザーブ設計。さらに機械式デジタル表示になっている時分針は、ひと目盛りずつジャンプして表示する仕組みだ。また、ケース左側にあるプッシュボタンを中に押し込むことでゼンマイを巻き上げる、特殊なシステムを採用したことにも注目したい。

文：越知絵里香　写真：板津亮

※表記は2009年2月現在のものになります。