ミリタリーテイストを基調とした、明快なデザインワークが冴えるフォルティス(FORTIS)。空、海、宇宙などの特殊なシーンで任務に当たるプロのために、過酷な現場での使用に耐える高スペックを搭載したモデルを製造し、各機関にオフィシャルウォッチとして納入する実績を持つ。
　そんなフォルティスが2009年、我々に最も強烈なインパクトを与えたモデルは、回転計算尺を搭載したパイロットウォッチ「B-47 カリキュレーター GMT 3タイムゾーン」であった。直径47mmの大型ケースで、ダイヤルの中心からベゼルまで、外側に向かって同心円状に交互に配色された黒と白が優れた視覚効果を発揮し、回転計算尺の複雑な目盛りの読み取りをサポート。24時間針や目盛りの一部に差し込まれたオレンジもスタイリッシュなアクセントになっている。
　また、フォルティスの取り組みとしてホットな話題といえば、欧州宇宙機関（ESA）とロシア生物医学研究所（IMBP）で進めてきた、有人火星旅行のための模擬火星旅行実験プロジェクト「Mars-500」の公式スポンサーを務めることである。それを記念するフォルティス「B-42 コスモノート」の限定版も発売されるので、ぜひとも注目したい。
　これらの大きなトピックのほかにも、「B-42 フリーガー」の各ラインにオールブラックモデルがエントリーするなどラインナップの拡充がみられ、フォルティスらしい実直かつバリュー感のある時計づくりは健在だ。

　　航空部隊や宇宙開発など、様々な分野で活躍するプロフェッショナルに向けて、オフィシャルウォッチを製造してきたフォルティス。欧州宇宙機関（ESA）がロシア医学生物学研究所（IBMP）と協力し、実際に火星でのミッションを想定して、6人のクルーがモスクワ郊外にある専用隔離施設にて、520日におよぶ火星表面上での探査シミュレーションをおこなうプロジェクト「MARS-500」にも、フォルティス社は協賛。 今回発表された「MARS-500」にちなんだ限定版は、非常に軽量であるとともに、耐傷性が高く、熱伝導性、熱膨張性がともに小さいため金属アレルギーを起こしにくい優秀な素材、チタンを採用。リュウズはラバーコーティングを施しているため、操作時に滑りにくいというメリットが。ダイヤルには赤く“LIMITED EDITION”と記され、デザイン上のアクセントにもなっている。3月31日にスタートした105日間のテストミッションのクルーがこのモデルを装着しテスト中。

文：越知絵里香　写真：板津亮

※表記は2009年7月現在のものになります。