資本の移行によって大幅な改革が進められているH.モーザー。2014年の新しいコレクションでは、その改革の様相がより一層、鮮明に見えてきた。
まず、これまで使われてきた「マユ(MAYU)」や「モナード(MONARD)」などのコレクション名は終了し、これに変わってパーペチュアルカレンダーやデュアルタイム、センターセコンドなどの既存モデルを「エンデバー(Endeavour)」というコレクションに統合。さらに手巻きスモールセコンド仕様のモデルとして、新開発の自社製ムーブメントを搭載した「ベンチャー(Venturer)」が新たに加えられ、このコレクションに「ベンチャー・スモール・セコンド(Venturer Small Seconds)」が登場した。
この「エンデバー」のコレクションには、既存モデルのパーペチュアルカレンダーのケースに、ブラックDLC加工を施したチタンを採用したスポーティなモデルが登場。
さらに新しい「ベンチャー」には、H.モーザー初のトゥールビヨンを搭載したモデルの発表がアナウンスされており、このモデルは第2タイムゾーンの表示機構が加えられた「ベンチャー・トゥールビヨン・デュアルタイム(Venturer Tourbillion Dual Time)」となる。
また、生産体制にも変化があり、一部のケースは自社製造に移行。
もちろん、ムーブメントの開発と製造、ヒゲゼンマイの製造も継続され、高級機械式時計マニュファクチュールとしての地盤固めが着実に進んでいるという確かな感触を得た。
さらにトップモデルの「エンデバー・パーペチュアルカレンダー(Endeavour Perpetual Calender)」では、内部構造を見直して改良を実施。より信頼性を高めることに成功した。
経営体制の変化で従来の持ち味が損なわれるブランドも少なくないが、モーザーの場合、その心配は無用。時計愛好家は、彼らの今後の展開に、大いに期待していいはずだ。