毎年のSIHHにおいて、何かひとつのコレクションにスポットを当て、そこに集中して新作を投入することで、その年のブランド・コンセプトに明確な方向性を提示してきたIWC。それが2009年の「アクアタイマー(AQUATIMER)」であり、2010年の「ポルトギーゼ(PORTUGUESE)」だったが、2011年のIWCは、主軸となる新作コレクションに「ポートフィノ(PORTOFINO)」を選定した。
このコレクションが誕生したのは1984年のこと。風光明媚なリゾート地として知られるイタリアの小さな港町「ポートフィノ」から命名されたこのシンプル・ウォッチは、懐中時計を思わせる丸みを帯びたケースと、三針+日付のシンプルな機能を融合させた自動巻き腕時計とし瞬く間に人気を獲得し、IWCの主要ラインとなった。
ただ、1990年代半ばから時計界のトレンドが複雑時計主体へと移行する中で、極めてシンプルな「ポートフィノ」の魅力が、ややもすると忘れられがちになったのは事実であろう。そこでIWCは2011年、「ポートフィノ」のケース径を40.0mmに拡大。同時にラインナップを大幅に見直し、緻密なメッシュのミラネーゼ・ブレスレットやイタリアの高級靴ブランド「サントーニ(SANTONI)」が製作を担当するストラップを導入することで、再び時計シーンの最前線へと復帰させたのだ。
中でも注目は、「ポートフィノ・ハンドワインド・エイトデイズ(PORTOFINO HAND WOUND 8 DAYS)」。これはムーブメントから新規に自社開発した意欲作で、その名の通り8日巻の長いパワーリザーブと、美しく作り込まれたムーブメントにも魅力がたっぷりの新作である。