ジラール・ペルゴ(GIRARD-PERREGAUX)の2011年は、創業から220年目を迎えるアニバーサリー。しかし、長年同社を引っ張ってきたカリスマ経営者ルイジ・マカルーソ氏が、前年の10月に急逝。私が最後に会ったのは、9月末のラ・ショー・ド・フォン。ジラール・ペルゴ社屋の前で見かけた氏は元気そうだったのだが…。
立派な体躯のマカルーソ氏はSIHHを代表する人物だっただけに、その姿がもう見られないというのは残念な限りだ。
しかしジラール・ペルゴの2011年は、その思いを振り切るように前へと進む。今回も過去と現在を重ね合わせた美しいクラシックモデルが登場。中でも限定モデルとして登場した「ジラール・ペルゴ 1966 スモールセコンド」は出色の出来。40oケースに収めたエナメル・ダイアルは見栄えがよく、ヌメっとした独特の質感に惹き込まれてしまった。
スイスきってのマニュファクチュールであるジラール・ペルゴは、常に新型ムーブメントの開発に明け暮れているのだが、2011年は5年前(2006年)に発表された自動巻式のCal.GP2700を搭載する、初のレディスモデルが登場した。
このムーブメントは直径が19.40oしかない小型タイプなのだが、モジュールを使わなくてもスモールセコンドを12時、6時、9時のどこにでも配置できるという。これは三番車を二枚配置することで、輪列レイアウトの自由度を高める設計をしているからだ。
ムーブメントのレイアウトでデザインが決まってしまう傾向があるが、Cal.GP2700はその悩みを回避し、デザイナーたちに自由を与えた。まずは「ヴィンテージ1945 レディ」に搭載されたが、この思想は他のムーブメントに伝播することも考えられる。となれば、既存モデルのバリエーション拡大も視野に入ってくるだろう。