カルティエ（Cartier）の歴史において、大きな節目となったのが2009年。この年（つまり昨年）、カルティエは自社開発によるムーブメントを搭載する「ロトンド ドゥ セントラル クロノグラフ(Rotonde de Cartier Central Chronograph）」を発表し、メンズ・ウォッチへの注力を宣言した。その路線は2010年も継承され、豊富なメンズ・ウォッチの新作がSIHHにおいて発表された。
それらの豊饒なる新作群の中でも、特に注目すべきは、カルティエ初のメンズ・ウォッチ専用コレクション「カリブル ドゥ カルティエ（CALIBRE DE CARTIER）」だ。
この「カリブル」とは、搭載ムーブメントがカルティエの自社開発であることを打ち出したネーミング。2009年のSIHH報告で、私（注：名畑副編集長）は当時、寄稿していた時計専門誌に「この新作を皮切りに、今後、カルティエから新しい自社開発キャリバーが次々に登場してくるだろう」と書いたが、その予言がまさに的中したのである。
興味深いのは、昨年の「セントラル クロノグラフ」のムーブメントを新しい「カリブル」のケースに収めた「カリブル ドゥ カルティエ セントラル クロノグラフ（CALIBRE DE Cartier Central Chronograph）」が同時発表されたこと。メカニズムは同じだが表示機構に独自性を持たせ、よりマッシブな「カリブル」のフォルムを身に纏うことで、一層男性的なモデルとなった。
そのほか、複雑時計においても、「ロトンド ドゥ カルティエ アストロ トゥールビヨン（Rotonde de Cartier Astrotourbillon）」や「トーチュ XL パーペチュアル カレンダー（Tortue XL Perpetual Calendar）」、画期的な秒針の運動を実現した「ロトンド ドゥ カルティエ デューラーズ フォリウム セコンド（Rotonde de Cartier Dürer's Folium second）」などが登場し、"マニュファクチュール"カルティエの実力を見せつけたのである。
取材・文：名畑政治 Report&Text：Masaharu Nabata
モデル写真：高橋和幸（PACO）Photos：Kazuyuki Takahashi(PACO)
ブース写真：堀内僚太郎(Storm) Photos：Ryotaro Horiuchi(Storm)
※表記は2010年2月現在のものになります。
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