創業数百年という老舗が幅を利かせる時計業界にあって、クォーツショック前後に生まれた30〜40年の歴史を持つ"中堅"メーカーが元気だ。
歴史や伝統に縛られる(それが魅力でもあるが)老舗とは異なり、柔軟性のあるモデル展開が可能なため、時代の変化にもフレキシブルに対応できているのが大きな要因だろう。
工作機械やCAD技術の進化によって、"自社製ムーブメント"の製作がさほど困難ではなくなった現在は、老舗の優位性もだいぶ薄れてきた。むしろ中堅が成り上がる"下剋上"の時代なのかもしれない。
その可能性を感じさせたのがモーリス・ラクロア(MAURICE LACROIX)。元々定評があるデザイン力に加え、自社ムーブメントも数も徐々に増加中であり、時代に即した時計作りが高い評価を得ている。
そんなモーリス・ラクロアが2010年のバーゼル・ワールドにて新たな戦略を打ち出した。ここ数年で高騰してしまった時計の価格帯の間隙を縫うように、10万円台から購入できる機械式時計シリーズ「レ・クラシック(Les Classiques)」をスタートさせたのだ。
同社には自社ムーブメントモデルを多数揃えた「マスターピース(Masterpiece)」、モダンデザインの「ポントス(Pontos)」がある。そして「レ・クラシック」はその下の価格帯に収まり、機械式時計を初めて購入する層に向けるという。
また工学史の限界を広げる「マスターピース レギュレーター ルー・カレ(Roue Carrée=四角い歯車)」も完成。こちらはクローバー型歯車で回転させる仕組みで、モダンなレギュレーターに仕立てている。
機械式時計はヨーロッパの伝統産業だが、その一方で最先端技術の実験場でもあった。そして現在、その実験精神は中堅の雄、モーリス・ラクロアが牽引しているのである。
取材・文:篠田哲生 Report&Text:Tetsuo Shinoda
写真:堀内僚太郎(Storm) Photos:Ryotaro Horiuchi(Storm)
※表記は2010年6月現在のものになります。
モーリス・ラクロア
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