CITIZEN自社開発の機械式自動巻きムーブメント『Cal.0200』が担うシチズン・メカニカル新時代 01

　2021年8月、シチズンから新たに自社開発された機械式自動巻きムーブメント『Cal.0200』を搭載したモデル『The CITIZEN(ザ・シチズン)』が発売された。

　思えば、シチズンが以前に発売した機械式自動巻きムーブメントは、2010年に発売された『Cal.0910』を搭載する『The CITIZEN(ザ・シチズン)』であり、これは当時のシチズンとしては30年ぶりとなる機械式ムーブメント搭載の腕時計であった。

　その『Cal.0910』から11年を経て新規に開発された『Cal.0200』は、高精度な機械式時計に多く用いられているフリースプラング方式を採用して時間精度の安定性を高めると当時に、2012年にシチズンが傘下に収めたスイスの高級機械式ムーブメント開発会社であるラ・ジュー・ペレ社との技術交流と協業によって導入されたスイスならではの高度で広範囲にわたるムーブメントの装飾加工技術を駆使した、審美性においても優れたムーブメントとなっている。

　つまり新開発の『Cal.0200』とは、日本とスイス両国の時計製造文化を背景として生み出された新時代の機械式ムーブメントなのである。

※フリースプラングとは？

ヒゲゼンマイの有効長を調整する緩急針を装備せず、テンワに設置された調整用のネジを用いて慣性モーメントを変化させ、歩度(時間精度)を調整する方式。

　日本ならではの時計作りの技術とスイス伝統の装飾技術の融合から生まれたシチズンの『Cal.0200』は、高い精度と審美性を併せ持つ高品位な機械式自動巻きムーブメントである。

　その精度は、高精度時計のひとつの基準であるクロノメーター規格(ISO3159)を超える平均日差－3～＋5秒を実現している。

　この時間精度の検定はシチズンの自社内で行われ、ストラップを取り付ける前のウォッチが完成した状態で17日間にも及び、6方向の姿勢と３段階の温度で設定した、さまざまな条件下での検査を実施。この厳しい検定に合格した証明として、販売される時計の本体には自社規格検定合格証が付属する。

　この高い精度と同時に美しさを求めて輪列機構とブリッジのレイアウトや形状、ひとつひとつの部品の仕上げも追求し、ムーブメント全体としての美しさを高めている点も見逃せない特徴である。

　その要(かなめ)となっているのが、すでに紹介したフリースプラング方式だが、その実現のためシチズンは高い加工精度と美しさの両立を目指してテンプの製造工程を新規に開発したという。

　さらに脱進機にはLIGA(リーガ)工法を採用。この工法により、部品精度が飛躍的に高まっているが、その背景には、シチズンが長年にわたり蓄積してきた『光発電エコ・ドライブ』システムを採用したムーブメント製造において培った技術が応用されているという。

　去る2025年10月3日、『ザ・シチズン』のブランド誕生30周年を記念して2種類の限定モデルが発表された。そのひとつが自社製機械式ムーブメント『Cal.0200』を搭載するメカニカルモデルだ。ご存知のようにシチズンが2021年に発表した『Cal.0200』は、時間精度の長期持続性に優れるフリースプラング方式を採用し、自社における検定でスイスの公認クロノメーター規格を超える平均日差－3～＋5秒を実現した高精度なムーブメント。今回の限定版の文字板には『ザ・シチズン』のシンボルであるイーグルの羽ばたきを連想させる流麗なパターンを採用。また、このモデルの裏ぶたにはリミテッドエディションナンバーが刻印され、世界限定300本のみの販売という希少なモデルとなっている。