Grand Seiko日本屈指の本格腕時計組立工房『グランドセイコースタジオ 雫石』現地レポート 04
生産性の向上とクリーン化を両立した
革新的な木造工房

館内1階と2階の間にある踊り場からは組立工房が一望できる。埃を溜まりにくくするための登り梁に加え、両サイドの壁にはクリーンな空気を送り込む多数の通気孔も確認できる。
新設された『グランドセイコースタジオ 雫石』は、ブランドフィロソフィーである「THE NATURE OF TIME」を表現するべく木材を多く取り入れたばかりでなく、製造環境も刷新。その様子を伺い知れるのが、『グランドセイコースタジオ 雫石』の中核となる組立工房だ。ブランドの歴史や機械式時計の仕組みが分かる展示コーナーの先には一直線の長い通路が設けられ、来訪者はこの通路からグランドセイコー機械式モデルの組立風景を眺められるようになっている。通路は、奥に向かって右手が全面ガラス張り。外光がたっぷりと注ぎ込まれ、さらに内装にはウッドが多用されているため、実に明るく、細い通路ながら開放感にあふれている。
この通路左手よりガラス越しに広がるのが、グランドセイコー機械式モデルの組み立てや調整が行われる工房。スタジオ設立以前の組立工房では時計師が個々に作業机を持っていたが、『グランドセイコースタジオ 雫石』では横一線に並べた作業机が何列にも連なる、講堂のような整然としたレイアウトに一新された。入り口に近い手前側の列が、ムーブメントの基本的な組み立てとなるザラ組みを行うチーム。そこから奥に進むにつれて、ヒゲゼンマイの調整、歩度調整、グランドセイコー規格検定、外装取り付け、検査と、列(チーム)ごとに作業内容が分かれる“島”形式を取り入れ、しかも列を製造工程順に配置。これにより、作業効率は格段に向上したという。
この組立工房は「クリーンルーム」になっており、木造建築でありながら精密な機械式時計を組み立てるのにふさわしい環境が構築されているのも、『グランドセイコースタジオ 雫石』の特徴だ。室内は壁面下部から室内の空気を吸い込み、専用のフィルターを通して壁面上部に設置された通気孔から新たな空気を送り込み、絶えず空気を循環させる設計。また、埃を溜まりにくくするように水平梁をやめて登り梁を取り入れるなど、建物の構造自体にも工夫を施したことで、以前にも増して大幅なクリーン化を実現できたという。
編集部が『グランドセイコースタジオ 雫石』を訪れたのは2021年12月の下旬。ちょうど前日までは雪が激しく降っていたこともあり、スタジオの外は真っ白で静謐な景色が広がっていたが、春になれば一転、鮮やかな芝生や木々と木造建築のスタジオとが調和した穏やかな風景が楽しめることだろう。時計師たちが組み上げる姿や隈研吾氏による建物の構造美はもちろん、季節の移ろいを存分に感じられるロケーションもまた、『グランドセイコースタジオ 雫石』の大きな魅力である。
>>盛岡セイコー工業・林社長が語る、『グランドセイコースタジオ 雫石』の今後
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