GRAHAM軽さと強さを備えたタイムピース それは、クルマへの情熱から生まれた

　 軽さと強さを兼備するという実用性の向上に加え、「クロノファイター」にカーボンファイバーを採用したのには、もうひとつの理由がある。それは、1995年にグラハムを創業したエリック・ロト氏のクルマに対する情熱だ。

　 前述したように、カーボンファイバーはその特性から、レーシングカーのフレームやボディに多用されてきた素材。この事実は、カーボンファイバーを広く認知させるきっかけになり、さらには“カーボン特有の格子パターン＝レーシングカー”とイメージさせるまでなった。

　 クロノファイターのデザインソースは、第二次世界大戦時にイギリス空軍パイロットが着用していたクロノグラフである。しかし「クロノファイター スーパーライト」は、カーボンファイバーを用いたことでレーシーな雰囲気に一変した。

　 さらに、ラバーストラップはホワイトをはじめ、レッド、イエロー、ブルー、グレーという5色をラインナップ。ホワイトはレーシングの雰囲気を色濃く出すために用意されており、その他のカラーは、天候や路面状況によって履き替えるレーシングタイヤのグレードをイメージして作られたという。

　 ケースバックはシースルー仕様となっており、そこから覗くローターには3つのホールが設けられていることが分かる。これもまた、クルマのブレーキディスクをイメージしたもの。カーボン素材のみならず、レーシングカーを想起させるディテールが随所に施されているのだ。

　 デザインモチーフとなったパイロット・クロノグラフとは異なる雰囲気に仕上がったが、これもまたクロノファイターの表現方法のひとつ。ロト氏のクルマに対する情熱によって、クロノファイターはより多くのファンを獲得する新たな魅力を放ち始めた。