例年に比べ、ギミックに寄ったコンプリケーションウォッチの勢いは鳴りを潜めていた2009年。しかし、複雑機構を積んだムーブメントの開発・製造を手がけるデュボア・デプラ社の家族企業であるピエール・ドゥ・ロッシュ(PIERRE DE ROCHE)は、今年も期待を裏切らぬ快作「グランドグリフ TNT ロイヤルレトロ」を投入してきた。
世界初となる6本のレトログラード式の秒針が、リレー式で連動して動く仕組みなのだが、次の秒針に移行するまでにリードタイムが発生し、まるでバトンタッチをしているようなユーモラスな運針を行い、見る者を釘付けにする。またケースも極めて複雑に構成されており、リュウズのプロテクターや、別体パーツを組み合わせたラグなど、合計10ピースを駆使。ムーブメントだけではなく、外装技術の高さをも証明している。