オートマタ(機械式からくり人形)の製作で比類無き才能を発揮し、ジュエリー・ウォッチの先駆者とも呼ばれるピエール - ジャケ・ドロー (1721-1790)。18世紀に活躍したこの天才時計師の名を戴くジャケ・ドロー(JAQUET DROZ)は、独自の美学を基盤として、従来の高級時計の枠組みに捕らわれない斬新で大胆な時計作りで定評がある。
  そのジャケ・ドローの2012年の新作は、5つの主要コレクション全般に渡るが、今年は特に芸術系の伝統技術を受け継ぐアトリエコレクションの充実ぶりに目を見張った。
  その代表作が、「プティ・ウール ミニット レリーフ ドラゴン(PETITE HEURE MINUTE RELIEF DRAGON)」。これは立体的に造形されたドラゴンが文字盤と自動巻きローターの両面にまたがって表現されたモデルであり、その緻密さと華やかさは圧巻だ。
 
  さらに、エナメル文字盤に細密画によるドラゴンで文字盤を飾ったモデル「プティ・ウール ミニットインペリアルドラゴン(PETITE HEURE MINUTE IMPERIAL DRAGON)」(
3,045,000円 税込)も登場。このような細密画は社内のペインターが行い、さらに今年は彫金士も入社したという。この事実から、ジャケ・ドローが伝統工芸技術の継承と発展に、どれほどの力を注いでいるかが理解できるだろう。
 また、スポーツ・タイプのモデルに初のトゥールビヨンが登場し、「グラン・セコンド(GRANDE SECONDE)」のデザインを懐中時計に導入した「ポケット・ウォッチ(THE POCKET WATCH)」(2,625,000円 税込み・予価)が登場するなど、多彩な個性を持つアイテムが充実して選択肢が拡充された。これが2012年の何よりのニュースである。