
針が扇状に進行して時を刻み、終着点に到達すると瞬時にゼロ復帰し、そのまま再び時刻表示を再開させるのが「レトログラード(退行・逆行)」という特殊機構。これを得意とし、さまざまな形態のレトログラードを自作に導入して独自のコレクションを展開するのがピエール・クンツ(PIERRE KUNZ)である。
そのピエール・クンツは、2006年には秒針が途中でクルリと宙返りする「ヴィルボルタント(VIREVOLTANTE)」、2007年には世界初の角型トゥールビヨン搭載の「トゥールビヨンアールデコ(TOURBILLON ART DECO」、2008年に秒針が文字盤上を果てしなく宙返りしながら時を刻む「インフィニティ ルーピング(INFINITY LOOPING)」、2009年には垂直に落下する秒針を実現した「ヴェルティゴ(VERTIGO)」といった話題作を連発してきた。