1908年に創業されたコンコルド(CONCORD)は、世界最薄(1978年当時)のアナログ式クォーツウォッチ「デリリューム」で知られ、どちらかといえばエレガントなスタイルを得意としていた。しかし創業100周年を迎える直前の2007年に、ブランドの方向性を大きく変化させ時計業界を驚かせる。
しかもコンコルドが新たに選んだのは「ラグジュアリー・スポーツ」。確かに2007年当時は時計バブルの絶頂期にあり、派手で巨大なスポーツウォッチが人気を集めていた時代ではあった。
しかしあまりにも大きな戦略変更が吉と出るのか凶と出るのか…。誰もがその行く末を心配したのだった。
結論からいえば、この方向転換は成功したといえるだろう。
それまでのコンコルドは女性ユーザーが多かったという事情もあって、時計雑誌に取り上げられることも少なく、取材陣の中でも話題になることは少なかった。
しかしラグジュアリー・スポーツウォッチとして「C1シリーズ」が始まってからは、時計専門誌で紹介される機会も増えている。ひょっとするとブランド知名度もかなり高まったのではないだろうか?
2010年のバーゼル・ワールドでは、ケースの表面にヴィンテージ加工を施した「C1 ヴィンテージ」が人気で、特にファッション系の媒体からの評判が良い。 過去の歴史に束縛されない自由な発想から、"第二のデリリューム"が生まれる日も、そう遠くはないだろう。
取材・文:篠田哲生 Report&Text:Tetsuo Shinoda
写真:堀内僚太郎(Storm) Photos:Ryotaro Horiuchi(Storm)
※表記は2010年6月現在のものになります。