宝飾・時計業界で名を知られるデザイナー、ピエール・クックジャンが2003年に設立したウォッチブランド、ドゥラクール（deLaCour）。大型ケースにふたつのクロノグラフをおさめた「ビクロノ」や、サークル（丸型）とレクタンギュラー（長方形）を組み合わせた独創的なケースを特徴とする「サクラ」、大胆にデフォルメされたトノウ（樽）型ケースの「シティ」など、機構・デザインともに、オーナーであるクックジャンの非凡なセンスを凝縮した、超個性的なシリーズを展開している。
　SIHHの開催期間に合わせて、ジュネーブ市内のブティック兼オフィスで行われた2009年の新作展示会では、「シティ」シリーズのケースシルエットを基盤にして、スポーティーなテイストを強調した新ライン「シティ エゴ」を発表。また、まだ試作の初期段階ではあるが、ブランニューケースをまとったダイバーズウォッチのプロトタイプも目にすることができた。精力的にデザインのボキャブラリーを増やしていく「活力」に満ちたドゥラクールから、当分目が離せそうにない。

　「シティ エゴ ウィークリー」と命名されたこのモデルは、その名が示すとおりパワーリザーブや日付、曜日表示に加えて、＜週表示＞をプラスした。文字盤と風防の空間を大きくとり独特のアレンジを施されたトノウ（樽）型ケースと、オーバル（楕円）状に縁取られたクロノグラフのインダイヤルなどが相まって、多面的に構成された立体感のある造形に仕上がっている。

文：越知絵里香　写真：板津亮

※表記は2009年2月現在のものになります。