2006年に、イタリア・ミラノに設立されたフェラーリ・エンジニアド・オフィチーネ・パネライ（Ferrari Engineered by Officine Panerai）。ブランドの頂点に座るのはパネライのCEOと同じ、アンジェロ・ボナーティ氏だ。イタリアが誇る名車フェラーリのDNAに刻まれた精神性と伝統を理解し、これまでも随所に"クルマ"のディティールを盛り込んだ腕時計を製作してきたが、2009年の新作はよりフェラーリらしさを色濃く出す方向へと傾斜がみられた。たとえば、従来のクッションケースの肉厚なベゼルはスリム化され、すり鉢状になった文字盤がさらにスポーティーな雰囲気に。そしてブランドカラーであるレッドやイエローが、ふんだんにダイヤルデザインに採り入れられるようになった。特別版としては、昨年フェラーリが発表した新型カー「フェラーリ カリフォルニア」のダッシュボードのイメージを文字盤上に再現した、フライバック・クロノグラフ搭載のモデルが登場。全体をあげてブラッシュアップと"深化"が図られ、充実したニューモデルが出揃った年であった。

　2008年5月に、フェラーリが世界に向けて発表した、GT系の新型車「Ferrari California（フェラーリ・カリフォルニア）」の血脈を継ぐニューウォッチが誕生した。デザインソースとなっている同車のダッシュボードにちなんで、すり鉢状のダイヤルに描かれたタキメーターの目盛りは15分までレッドカラーに。ブランド全体でリニューアルが図られた新ケースをまとい、一部にカーボン素材を使用した裏蓋にはブランドのシンボルである"跳ね馬"が大胆にあしらわれた。レーシングにおける正確な計時にも欠かせない、フライバック・クロノグラフを搭載したスペシャルヴァージョンである。

文：越知絵里香　写真：板津亮

※表記は2009年2月現在のものになります。