2005年発表の「ビッグ・バン」が、近年稀に見る大ヒットを打ち出したウブロ（HUBLOT）。同社が著しい成長の真っ只中の2008年春、LVMHグループの傘下入りを表明し、業界中の話題をさらったのもまだまだ記憶に新しい。なお新体制下でも「ビッグ・バン」ヒットの仕掛け人、ジャン・クロード・ビバー氏はCEOを続投。大型資本による強力なバックアップ体制の中で、相変わらず剛腕を振るっているという。
　2009年は、磐石を築いたウブロの成熟が垣間見えた年。待望の新機軸「キング・パワー」コレクションや「ビッグ・バン」がブラッシュアップされた「ビッグ・バン エボリューション」シリーズなどの注目作が目白押しだ。また毎年恒例で発表される「ビッグ・バン」限定モデルは、やはり個性派が勢ぞろい。近年のオールブラックモデル大流行のきっかけとなった、2006年発表の「ビッグ・バン オールブラック」の続編で、今年はオールブルー、オールグリーンがエントリーした。さらに「ビッグ・バン」が男性だけでなく女性にも浸透しつつあることを受け、2009年はユニセックスモデルをより強化。40.8mm径で登場した「ビッグ・バン アールグレイ」もその一環といえる。
　昨年から着工していた新社屋の完成や、新しい保証制度の導入など、常に明るい話題が聞こえてくるウブロ。自社製キャリバーの開発にも意欲的に取り組んでおり、完成と実用化が待ち遠しい限りだ。

　CEOであるビバー氏自らがアンバサダー役を務めるウブロだが、「ビッグ・バン アールグレイ」にタンタルグレーのダイヤルを採用したのは、実はビバー夫人のアイデア。絶妙な色合いのグレーが、非常にクレバーな印象である。ケースの側面はグラスファイバーで、マットなグレーを挿入している。写真のモデルは＜ラバーアリゲーター＞という、ラバーの表面にアリゲーターを縫合したストラップを採用し、高級感を備えつつも汗・水に強い仕様。このほかよりシャープさが強調されるステンレススチールのブレス仕様もラインナップする。ケース径は40.8mmとウブロの中では比較的小さいため、ユニセックスモデルとして位置づけられたモデル。ダイヤあり・なし両方のバリエーションが揃う。

文：越知絵里香　写真：板津亮

※表記は2009年7月現在のものになります。