2005年に、その名を時計ブランドとして国際的な場に復活させたH.モーザー(H.Moser & Cie.)。19世紀末から20世紀はじめ、ロシアにおいて大成功を納めた歴史を持ち、スイス・シャフハウゼンの地の時計産業を語る上で、欠かすことのできない時計メーカーである。
21世紀になり、シャフハウゼンの時計専門家であるユルゲン・ランゲ博士の大いなる熱意によって再興したH.モーザー(H.Moser & Cie.)だが、リューズで日付調整を行う際、一気に針調整のポジションまでリューズを引き出さないよう、正確なポジショニングができる「ダブル プル クラウン」、つまり「二重引き出し」のシステムや、重心誤差を補正する「シュトラウマン・ダブルヘアスプリング・エスケープメント」、脱進機構のみ別の地板にとりつけ、メンテナンスの手間を大幅に軽減させるなど、H.モーザー(H.Moser & Cie.)ならではの独自の機構と品質の高さで、高い評価を得ている。また、2008年には技術、生産を含む姉妹会社全てを傘下に置き、マニュファクチュールとも言えるほど強固な体制を確立させた。また、ダイヤルや部品に関しても超一流のサプライヤーによるもので、こうした環境がH.モーザー(H.Moser & Cie.)の品質を支えている。
2009年はそしてH.モーザー(H.Moser & Cie.)のプロダクトの中でも絶大な人気を誇る「フュメ」ダイヤルの魅力をさらに広げるべく、「ヘンリー」と「モナード」にもこのダイヤルを採用。また、「ヘンリー」に独特の光沢を放つレッドゴールドケースの「ヘンリー・ロッソ」が登場。またプロダクト全般において、これまで使用されていたプレス針から、削り出しの針へと変更された。エレガントであっても決してクラシックではないことが信条のメーカーの矜持であり、こうした新たなH.モーザー(H.Moser & Cie.)による美しい時の世界には、今後も大きな期待が寄せられる。