ドイツの高級時計の最高峰に君臨するA.ランゲ&ゾーネ。スイスメイドの時計とは、まったく異なる時計づくりの哲学を感じさせるブランドですね。今年の新作も、高度な技術力を証明しながらも、あくまでも実用性にこだわった質実剛健なつくりが、いかにもドイツ時計らしいといえると思います。
グランド・ランゲ1
従来の<グランド・ランゲ1>(2003年発表)は、デザインが初代の<ランゲ1>とかけ離れていて、どちらかというとモダンな雰囲気だったのですが、今年の新ダイヤルは、オリジナルの<ランゲ1>と同じデザインコンセプトでつくられているので、<ランゲ1>が欲しいけどケースが小さすぎる、と感じているお客様にとっては悲願のモデルでしょう。インダイヤルもサークル型に綺麗に仕上げが施されていて、非常に美しいです。色はモノクロームですが、それぞれのインダイヤルの仕上げによってきらめきかたが違い、ツートーンカラーさながらの立体感です。
カバレット トゥールビヨン
いかにもランゲらしい、コロンブスの卵的な発想。トゥールビヨンを使用しないときに止めてしまう、というストッパーのついたトゥールビヨンなんです。そもそもトゥールビヨンって精度を高く保つ機構ですが、今まで秒針のハック機能がついていなくて、秒針を正確に合わせることができなかった、という矛盾を解消してみせたんです。トゥールビヨンのケージの動きを止めてしまう、というかつてどのメーカーも実現できなかったことを叶え、その機構をあえて<カバレット>のケースに納めたというのも渋いな、と感心しました。角型のトゥールビヨンモデルは、他のブランドでもあまりないので新鮮です。
(モデル解説:トミヤコーポレーション 古市聖一郎)