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時計作りのすべてが透明化された ルツェルン目抜き通りの新工房

Watch Person Interview vol.48  時計作りのすべてが透明化された ルツェルン目抜き通りの新工房

「時計ブランドにとって、その遺伝子を継承することは、とても大事なことです。

  大きなブランドには多くのラインがあり、共通したテイストを持っていますが、我々のような小さなブランドでは大きなコレクションを維持するのは難しいでしょう。

  そこで私は、クロノスイスのラインをクラシックとスポーツのふたつに絞り込みました。

『シリウス(Sirius)』の名で統合されたクラシック・コレクションは、非常に大切なラインで、売り上げの65%以上を占めています。

  残りの約35%がスポーツ・コレクションで、『タイムマスター(Timemaster)』がそれです。これも大事ですが、それはヨーロッパの若い人は、最初に買う時計がスポーツ・ウォッチということが多いから。『タイムマスター』も、そういった若い人に最初に買ってもらえる時計になりたいと思っています」 


  ラング氏からエブシュタイン氏へ経営が移ったことで、クロノスイスの本社工房はスイスのルツェルンに移転した。


「この移転は本当に大変でした。すべての作業を6か月で終えようと思っていましたが、実際には12か月もかかったんです。

  しかも、移転作業の間も出荷を続けなければなりません。でも途中の3か月は、まったく商品を作ることができませんでした。

  もっとも難しかったのは、新しい時計師を見つけること。最初は、“これがラ・ショー・ド・フォンだったら楽だろうな”と考えていたんです。ルツェルンには時計会社が少ないので、そう簡単にはいかないだろう、ってね。

  ところが実際に募集すると、すぐにいい人材が見つかったんです。本当に幸運でした。彼らとはすでに2年以上も一緒に働いていますよ」

  ルツェルンに移転した本社工房は、時計会社としては珍しい場所にあるという。


「移転にあたって新しいオフィスをルツェルンのダウンタウンで探しました。これも通常なら大変ですが、偶然、良い物件が見つかったんです。それはショッピング街の真ん中。人通りも多く非常に恵まれたロケーションです。

  そこで、これだけの場所なら、多くの人に私たちの時計作りを見てもらいたい、と考え、オープンな工房を作ったんです。

  これは確かに大きな投資でしたが、マーケティング・コストとして考えれば、充分に見合うもの。ルツェルンの街を訪れた人にクロノスイスの時計作りを見てもらえるなら、決して無意味な投資ではないと考えています」

  ルツェルンに誕生したオープンな新工房。そこにはエナメル文字盤の焼成装置やギョーシェ模様を施すための手動旋盤など、ミュンヘン時代よりもさらに充実した設備が整えられているという。この新しいクロノスイス工房のレポートは、いずれ皆さんにお届けすることができるに違いない。


取材・文:名畑政治 / Report&Text:Masaharu Nabata
写真:江藤義典 / Photos:Yoshinori Eto


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