メインコンテンツに移動

GREUBEL FORSEY真の“伝統と革新”はここにある。

GREUBEL FORSEY

真の“伝統と革新”はここにある。

「グルーベル・フォルセイ」創業者の一人、ステファン・フォルセイ氏

ステファン・フォルセイ。1967年英国生まれ。超複雑時計工房オーデマ ピゲ ルノー エ パピで研鑽と積んだのち、同僚であったロベール・グルーベル氏とともに独立。2004年に時計ブランド「グルーベル・フォルセイ」をスタートさせる。

 数千万円という超高級時計の世界では、時刻を知るための機械という本来の意義を離れ、クラフツマンシップや審美性を楽しむ贅沢品となりつつある。とりわけ凄腕の時計師2名が立ち上げた「グルーベル・フォルセイ」は、複雑な機械を愛でるハイエンドウォッチとして、世界中の時計愛好家から称賛を受けている。


 しかも徹底的な手作業から生まれる時計のため、年間の生産本数は僅か100本程度。つまり手に入れることはもとより、実物を目にすることさえ困難だという。それほど特別な時計を日本で独占販売しているのが、神戸の名門時計専門店「カミネ」である。

 幾多の超高級時計を扱ってきた同社社長上根亨をして“神がかっている”と唸らせるのが、「グルーベル・フォルセイ」の凄さ。傾斜をつけたトゥールビヨンに代表されるように、極めて複雑な機構を搭載するが、その根底にあるのは「精度の追求」である。ケースのサイズも香箱の数も複雑機構も、全ては精度のため。その純粋さこそが、このブランドの魅力となっている。


「羽のように軽い動力伝達で、長時間、時計を動かす。という至極簡単なようで最も難しい理論から時計づくりを考えている。その辺が素晴らしいのです」と上根亨は絶賛するが、それはスイスの時計文化を深く知っているからこそ見えてくる凄みなのだろう。

 今回のイベントは瀟洒なレストランで開催され、創業者の一人である時計師ステファン・フォルセイが来日。至極のタイムピースたちだけでなく、SIHHで発表されたばかりの新作も日本へとやってきた。


 イベントではホストである上根亨と共にトークセッションを行い、時計に込めた情熱を語る。中でも熱がこもっていたのが、新作の「コンテンポラリーテンプ」のプレゼンテーションである。


 このモデルは、時分針とスモールセコンド、パワーリザーブ表示というシンプルなメカニズムなのだが、そこにはグルーベル・フォルセイの純粋さが表れている。6時位置に見えるテンプは、慣性モーメントを高めて精度を向上させるために、12.6mm径というサイズになり、微調整のためのスクリューは空気抵抗を受けないようにやや内側にセット。さらに実用的な持続時間を実現させるために、二重香箱を採用している。


 結果として平均日差を+2~-1秒に収める超高精度モデルとなったが、ケースサイズは39.6mmという実用的なサイズに収めている。

「パフォーマンスを高めつつ、サイズダウンを目指すのは大きなチャレンジでした。このサイズを実現させるために、立体的なダイヤル構造にしましたが、機能面で妥協したところはありません。もちろんブリッジにブラックポリッシュを施すなど、細部まで職人の手技を取り入れています」とフォルセイは胸を張る。


 通常のブランドであれば、マーケティングなどを勘案してケースサイズが決まることもあるだろう。しかしグルーベル・フォルセイの場合は、こういう時計を作りたい、こういう性能を実現させたいという理想から設計が始まるため、テンプと香箱だけでも時計は満杯になってしまうという。つまり高精度という理想を実現しつつ、ケースも小さくするというのは、実はとても困難なのだ。

 しかも精度へのこだわりは、意外なところにも表れる。そこに上根亨は甚く感心していた。


「グルーベル・フォルセイの時計は、機種ごとに立体構造でムーブメントが構築され、その独創的な構造美は芸術の域ですが、その上で徹底的に性能・精度にこだわるところが凄い」と称賛を惜しまない。

 グルーベル・フォルセイの時計は、かなり難解な技術が用いられるため、その魅力を味わい尽くすには多くの経験と知識が求められる。そこが時計愛好家を刺激するわけだが、その一方でルーペを使ってじっくりとディテールを見ているだけでも、いかに丁寧に時計が作られているかがすぐにわかる。


  いうなれば知的好奇心と感性の両面に響く時計であるという事。39.6mmの比較的コンパクトなケースに精度への情熱を詰め込んだ「コンテンポラリーテンプ」は、普通に見えて、とても奥深い魅力に満ちているのだ。


  このような時計に実際に触れるというだけでも、貴重な体験となる。イベントを訪れた時計愛好家たちは、いつまでもステファン・フォルセイを質問攻めにし、スイス時計文化の奥深さを堪能したのだった。


その他のグルーベル・フォルセイ2019年新作はこちら

取材・文:篠田哲生 / Report & Text:Tetsuo Shinoda


NEW RELEASE

新着情報をもっと見る