まずクオーツで復活したGS
やがて世界最高峰の
クオーツ・ムーブメントが誕生する


1993年、年差±10秒の高い精度、太くしっかりした針を正確に動かすツインパルス制御モーター、正確な秒針の動きを実現したバックラッシュオートアジャスト機構など、最先端の技術をふんだんに採用した最高峰のクオーツ・ムーブメント「Cal.9F」が完成し、GSに搭載された。


 1960年に最初のモデルが誕生し、着実に進化してきたグランドセイコー(GS)。だが、GSの地位は、1969年にセイコーが発表した世界初の市販クオーツ腕時計「セイコー・クオーツアストロン」の登場により大きく揺らぐこととなった。 「クオーツアストロン」の保証精度は月差±5秒。これに対し機械式腕時計として最高精度を誇るGS最上位モデルは月差±60秒以内。これによってGSは最上位機種の地位から引き下がることとなり、その引退は必然であった。


 ところが1980年代後半、“永久欠番”のような存在となっていたGSに再びスポットが当てられる日が訪れる。その背景には「クオーツの開発以後、画期的な開発がなく、道具として最高峰のモデルを作りたい」という現場の技術者からの声があったという。


 そこで技術者たちは過去のGSについての取材を開始。その過程でGSに用いられた当時の高度な研磨技術や文字板製作技術が発掘された。


 その結果として1988年、クオーツ・ムーブメントを搭載した最初のGSが誕生した。


 だが、このモデルは技術者にとって決して満足できるものではなかった。まず当時のクオーツ・ムーブメントではトルクが弱く、GSらしい太く重い針や大きな数字で日付を表記した大型のディスクを駆動することができなかった。また、OBやベテランからも「GSらしくない」などの声があがった。そこで往年のGSらしさを取り戻すため新規ムーブメントの開発を決断。それが1993年に登場した新型クオーツ・ムーブメントを搭載する「9F8シリーズ」である。


 国産時計の最高峰であり、スイスの一級品にも劣らない精度と存在感を取り戻した9F8シリーズのGSは、新たなGS伝説の幕開けとなったのである。



機械式時計再評価の機運により
待望のメカニカルGSが実現


1998年、GS専用の機械式ムーブメントとして「Cal.9S」が誕生。同時にスイス・クロノメーター規格よりも厳しい精度基準「新GS規格」が制定され、これに合格したものだけがGSとして世に送り出される。もちろん精度だけでなく外観も最上級を目指し、その後も「Cal.9S」は進化を続けている。


 実はセイコーがまったく新規に高級クオーツ・ムーブメントである「9F」を開発してまで、GSの質的向上を図った背景には、スイスを中心として高級機械式時計の再評価が本格化した時代であった。各地の百貨店でも、世界の高級時計を一堂に集めた「ワールドウオッチフェア」が開催されるようになり、確かな集客と実績を記録するようになってきた。


  当然、GSにおいても、かつてのような機械式モデルの復活が望まれ、1990年代半ば、機械式GSの新規開発がスタートしたのだ。


  しかし、その開発は想像以上に難しかったという。なぜならセイコーにおいて高級機械式時計の製造が終了して20年以上のブランクがあり、当時を知る技術者はすでに引退していた。また製造設備もほとんど残されていなかったのだ。さらに当初は既存の中級ムーブメントを改良する方法を考えたが、GSの要求する精度があまりにも高く断念せざるを得なかったという。


  そこで開発担当者は退職した技術者のもとを訪れて調査を行い、彼らの経験値をフィードバックさせて試作機を製作。これをテストすることで問題点を洗い出して改良を加え、一歩一歩、理想とする新しいGSに近づいていったのである。


  こうして1998年11月27日、完全新設計ムーブメントの「Cal.9S51」と「Cal.9S55」を搭載した新しい機械式GS「9S5シリーズ」が発売された。


  しかし、GSの進化はこれで止まることはなかった。


1998 | 初代9S5シリーズ
新規開発の機械式自動巻きムーブメントを搭載し、より厳しい新GS規格を適用して復活した機械式GS。ケース外周に究極の鏡面磨き“ザラツ研磨”を採用するなど、細部にも徹底した作り込みがなされた。


スプリングドライブの誕生
そして今、GSは新たな領域へ

 1999年、セイコーは機械式でもなくクオーツでもない“第三のムーブメント”と呼ばれるスプリングドライブを開発。これは機械式時計と同じ「ぜんまい」を動力としてローターを回転。その運動エネルギーを電気エネルギーに変換してクオーツ(水晶振動子)を発振させ、輪列の回転を制御する世界初の画期的な機構であった。しかし「手巻きで48時間のパワーリザーブを持つ最初のスプリングドライブではGSに搭載することはできない」とセイコーは考え、さらに4年をかけて効率に優れる自動巻き機構と72時間のパワーリザーブを実現。これによって2004年、自動巻きスプリングドライブ・ムーブメントを搭載する初のGSである「9R6シリーズ」が誕生したのである。


  その後もGSは着実な進化を続けた。2006年にはシングルバレル(ひとつの香箱)で3日間(約72時間)のパワーリザーブを実現した「9S67シリーズ」が登場。2007年にはスプリングドライブ・ムーブメントにストップウオッチ機構を付加した、世界最高峰の精度を持つ、ぜんまい駆動クロノグラフ「スプリングドライブクロノグラフ」が誕生した。


  さらに2009年にはセイコーとして41年ぶりに10振動/秒に挑戦し、かつてのモデルを凌ぐ精度と安定性、パワーリザーブを備える自動巻き10振動/秒ムーブメント「Cal.9S85」を搭載する「GS メカニカルハイビート36000」を発売。


  そしてGS誕生から60周年となる2020年。1998年に誕生した「9Sメカニカル」をベースとして、高い効率を誇る新型脱進機「デュアルインパルス脱進機」とツインバレルの採用で約80時間ものロングパワーリザーブを実現した新作「メカニカルハイビート36000 80 Hours」が発表されたのである。


1999年、「ぜんまい」を動力としつつ水晶振動子の正確な信号で精度を制御する、セイコー独自の「スプリングドライブ」が完成。2004年には自動巻きにバージョンアップした「Cal.9R」が、ついにGSに搭載された。現在ではシンプルな三針からクロノグラフまで、幅広いラインナップを誇る、日本が世界に誇る高精度ムーブメントである。

「スプリングドライブ」の制御システムは、クオーツ時計に用いられるIC・水晶振動子の電気信号を利用した独自の調速機構。スプリングドライブのために開発された「トライシンクロレギュレーター」によって、「ぜんまい」がほどける速度を一定に保ち、針を動かす輪列の動きを正確に制御する。


  • 1967 | 62GS。GSとしては初めての自動巻きモデル

    2004 | 9R6シリーズ
    世界に先駆けてセイコーが実現した第三のメカニズムであるスプリングドライブは、機械式と同じ「ぜんまい」を動力としながらクオーツと同等の高精度(平均月差±15秒、日差±1秒相当)を実現。

  • 1968 | 61GS。国産初の自動巻きの10振動/秒モデルであり、スイスの天文台コンクール挑戦で培った高振動化技術を応用して開発された

    2009 | 9S8シリーズ
    セイコーが41年ぶりに新規開発した10振動/秒の機械式自動巻きムーブメント搭載。部品を素材から再検討し、高振動に必要な大きなトルクと優れた持続時間(約55時間)を実現した。

  • 1970 | 56GS。高精度な自動巻きながら薄型化(ムーブメント厚は4.5mm)を実現し、手首に軽くフィットする端正なデザインを採用した男性用の最後期モデル

    2020 | SLGH002
    セイコーが開発した高効率な新型脱進機「デュアルインパルス脱進機」に加えて、2つの香箱(ツインバレル)を採用することで10振動/秒のハイビートながら約80時間のロングパワーリザーブを実現したGS60周年記念モデル。

日本時計界を代表する最新GSを集めた
岩田屋本店のグランドセイコーフェア

 2020年8月5日(水)から8月25日(火)まで、福岡天神の岩田屋本店新館4階=時計サロンで開催されるグランドセイコーフェアには、日本時計界を代表するGSの最新モデルが結集する。


 エレガントで古典的なドレス・モデルをはじめとして、ダイヤモンドセッティングが輝くレディス・モデルや、日常生活はもちろん、ダイビングやトレッキングなどのスポーツでも活躍するタフなスポーツ・モデルに至るまで、幅広い要望に応えるGSの現在の姿を確認することができる。


 さらに、このフェアで購入の方には、GSの誕生60周年を記念するフェアだからこその特典も盛りだくさん。この絶好の機会に、岩田屋本店新館4階=時計サロンを訪ね、ライフスタイルにフィットしたGSを手に入れていただきたい。

グランドセイコーフェア 概要

開催期間:2020年8月5日(水)~8月25日(火)
開催会場:岩田屋本店 新館4階=時計

ご購入いただいた時計は通常3年間の保証期間が4年間へ保証期間が延長になります。
【お買い上げ特典】
フェア期間中、グランドセイコーをお買い上げのお客様にグランドセイコー オリジナル・ノベルティプレゼント。
※数に限りがございます。

  • Grand Seiko Elegance Collection SBGW264
  • [Grand Seiko Heritage Collection]
    SBGA211


    チタンながらステンレスのような輝きを持ち、約30%も軽く、耐傷性と耐食性に優れるブライトチタンをケースとブレスレットに採用。ムーブメントはセイコーが誇る「スプリングドライブ」。純白で表情豊かな“雪白”と呼ばれる文字板はスプリングドライブを作る『信州 時の匠工房』がある信州の穂高連峰に降り積もる雪を、滑らかにスイープ運針するブルースチール秒針は穂高の透んだ青空をイメージしたという。


    ケース径:41.0mm
    ケース素材:ブライトチタン
    ストラップ:ブライトチタン
    防水性:日常生活用強化防水(10気圧)
    ムーブメント:スプリングドライブ、Cal.9R65、最大巻上時約72時間(約3日間)、平均月差±15秒(日差±1秒相当)
    仕様:シースルーバック、ねじロック式りゅうず、カレンダー(日付)機能つき、秒針停止機能、耐メタルアレルギー、パワーリザーブ表示機能、裏ぶた獅子の紋章つき
    価格:682,000 円(税込)

  • Grand Seiko Elegance Collection SBGW264
  • [Grand Seiko Elegance Collection]
    SBGA407


    雪白ブルーの文字板とブルースチール仕上げの秒針が映えるスプリングドライブ・モデル。この秒針はスプリングドライブならではの滑らかなスイープ運針を行い、ゆったりとした時の流れを具現化する。


    ケース径:40.2mm
    ケース素材:ステンレス
    ストラップ:クロコダイル
    防水性:日常生活用強化防水(10気圧)
    ムーブメント:スプリングドライブ、Cal.9R65、最大巻上時約72時間(約3日間)、平均月差±15秒(日差±1秒相当)
    仕様:シースルーバック、カレンダー(日付)機能つき、秒針停止機能、パワーリザーブ表示機能、裏ぶた獅子の紋章つき
    価格:682,000円(税込)


  • Grand Seiko Sport Collection SBGJ237

    [Grand Seiko Elegance Collection]
    SBGK007


    手巻きの機械式ムーブメント「Cal.9S63」を搭載したクラシカルでドレッシーなモデル。両面から磨き込まれたデュアルカーブサファイアガラスに合わせて文字板もカーブを描き、古典的な時計の美をアピールする。3時位置にパワーリザーブ表示、9時位置にスモールセコンドを配置し、シンプルでありながら、高い実用性も特徴のひとつとなっている。


    ケース径:39.0mm
    ケース素材:ステンレス
    ストラップ:クロコダイル
    防水性:日常生活用防水(3気圧)
    ムーブメント:メカニカル 手巻、Cal.9S63、最大巻上時約72時間(約3日間)、平均日差+5秒~-3秒
    仕様:シースルーバック、小秒針つき、秒針停止機能、パワーリザーブ表示機能、裏ぶた獅子の紋章つき
    価格:825,000円(税込)

  • Grand Seiko Sport Collection SBGJ237

    [Grand Seiko Elegance Collection]
    STGF347


    瞳や水滴など、自然が生んだ歪みのない曲線でデザインされた小振りなケースのレディス・モデル。ベゼルを廃し、ドーム状のサファイアガラスを挟んだ両サイドのアーチにダイヤモンドをセット。文字板の色は冠位十二階による冠の色で最高位に相当する日本の伝統色「深紫(こきむらさき)」という高貴な色を採用。ここには女性の抱く「誇り」を表現したいという思いが込められている。


    ケース径:27.4mm
    ケース素材:ステンレス
    ストラップ:ステンレス
    防水性:日常生活用強化防水(10気圧)
    ムーブメント:クオーツ、Cal.4J51、年差±10秒
    仕様:ダイヤ入りケース、ダイヤ入り文字板、裏ぶた獅子の紋章つき
    価格:803,000円(税込)

  • Grand Seiko Elegance Collection STGK015

    [Grand Seiko Sport Collection]
    SBGC223


    ケースとブレスレットにセラミックスとブライトチタンを採用した次世代の高級スポーツウオッチ。表情豊かな多面体のケース&ブレスレットは、何かに接触した際、硬いセラミックスが先に当たることでブライトチタンに傷がつくことを防ぐ仕様。漆黒の文字板に配置された大型のインデックスや針にはセイコー独自の蓄光素材ルミブライトが塗布され、夜間や暗闇での視認性を高めている。


    ケース径:46.4mm
    ケース素材:ブライトチタン、セラミックス
    ストラップ:ブライトチタン、セラミックス
    防水性:日常生活用強化防水(10気圧)
    ムーブメント:スプリングドライブ、Cal.9R86、最大巻上時約72時間(約3日間)、平均月差±15秒(日差±1秒相当)
    仕様:シースルーバック、24時針(デュアルタイム表示機能)、ねじロック式りゅうず、ストップウオッチ機能(30分計・12時間計)、秒針停止機能、耐メタルアレルギー、パワーリザーブ表示機能、裏ぶた獅子の紋章つき、カレンダー連動時差修正機能
    価格:1,705,000円(税込)

  • Grand Seiko Sport Collection SBGP015

    [Grand Seiko Sport Collection]
    SBGH255


    高精度な10振動/秒の機械式ムーブメント「Cal.9S85」を搭載し、深度600mまでの飽和潜水に対応するプロフェッショナルダイバーズ。厚いダイビンググローブを着用していても確実に操作できる独自パターンを刻んだ回転ベゼルは、何度でも分解整備が可能な構造。輝きながら上昇するバブル群を表現した純鉄製文字板が耐磁性を確保し、ダイビングから日常まで幅広い場面で安心して使える。


    ケース径:46.9mm
    ケース素材:ブライトチタン
    ストラップ:ブライトチタン
    防水性:600m飽和潜水用防水
    ムーブメント:メカニカル 自動巻、最大巻上時約55時間、平均日差+5秒~ー3秒
    仕様:ダブルロック中留、ねじロック式りゅうず、カレンダー(日付)機能つき、秒針停止機能、裏ぶた獅子の紋章つき、逆回転防止ベゼル
    価格:1,100,000円(税込)



    岩田屋本店 新館4階=時計 についてのお問い合わせは…
    〒810-8680 福岡県福岡市中央区天神2-5-35岩田屋本店 新館4階=時計
    TEL:092-714-3011 岩田屋時計サロン 直通
    定休日:不定休
    営業時間:10:00~20:00
    >>>岩田屋本店 新館4階=時計 詳細はこちら

    ※価格は2020年8月1日現在のものです。
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