エコツアーから見えてきた
自然を愛する「オリスの本気」


ラグジュアリービジネスにおいて、エコやエシカルは、一種のトレンドとなっている。
しかしその言葉が独り歩きしてしまうと、結果としてユーザーが興味をもちにくい。
その点オリスは、エコ活動をサポートするだけでなく、それを生かした時計作りやイベントを開き、
“我がこと”として環境意識を持てるような取り組みをしている。


アクイス ダットワット リミテッド エディションII

アクイス ダットワット リミテッド エディションII
デンマーク、オランダ、ドイツにまたがる広大な干潟と海水域・黒砂区域であるワッデン海は、約5000種類の生物が生息するという自然豊かな場所。この海に対して地元の人が敬意をこめて呼ぶ「ダットワット」をモデル名に冠した限定モデル。多くの生命をはぐくむ塩沼の色をイメージし、12時位置から6時位置へと色が濃くなっていくグリーンのグラデーションをダイヤルに施している。世界限定2009本。自動巻き、SSケース、ケース径43.5mm。440,000円(税込)


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一方通行にならない、オリスのエコ活動

 美しい海にかこまれた神奈川県真鶴町は、観光開発が進んでいない分、樹齢300年を超える木々が茂る「お林」など海も陸も美しい自然が残っている。ここに一台のバスがやってきた。これは家庭用から出た廃油をリサイクルしたバイオ燃料を使って走る「天麩羅バス」で、オリスジャパンが参加を募ったエコツアーの参加者が乗っている。


 到着するとすぐさまビーチクリーニングがスタート。積極的に動いているのは、このツアーの主催者のひとりであり、オリスのアンバサダーでもあるフリーダイバーの岡本美鈴さんだ。


 高級時計ブランドがエコ活動を支援するのは珍しいことではないが、オリスの場合は、参加して楽しむということを重要視している。それは参加者の笑顔を見るとわかる。


岡本美鈴さん

「CHANGE FOR THE BETTER」。これはオリスの環境問題に対するスローガンだ。そもそもスイスの時計は隣国フランスから伝わったという歴史があるため、国境に近い自然豊かな山間の町で作られることが多い。時計師やスタッフも田舎で生まれ育った人が多いので、自然はとても親しみのあるもの。そのため世の中がSDGSやサステナブルと言い始める前から、環境意識が高かった。


里山に囲まれた町ホルシュタインで創業したオリスも同様で、数十年も前から環境保護活動をサポートしてきた。もちろんこういった活動は他の時計ブランドも行っている。しかしオリスの活動は、説教じみていないし、肩に力が入っていない。河口にフローティング プラットフォームを浮かべて海洋プラスティック廃棄物を掃除するパシフィック・ガベージ・スクリーニングとパートナーシップを結んだり、海の中を漂う廃漁網(ゴーストネット)を回収してアップサイクルするブレスネットとパートナーシップを結んだりと、規模は小さくとも、未来を見据えて活動している団体を積極的にサポートするのだ。


そしてそういった活動の成果を、時計に取り入れるのもうまい。例えば「アクイス デイト アップサイクル」は、ダイヤル素材に再生プラスティックを使用しているが、そのカラフルな色彩や独特の模様は、エコ活動というフィルターを通さなくても十分に魅力的だ。


エコ活動をブランドからの一方通行にせず、商品力によってユーザーに届ける。だからオリスの社会貢献活動はうまくいっているのだろう。


スイス北部の街バーゼルに近いホルシュタインに、オリスは拠点を構える。

スイス北部の街バーゼルに近いホルシュタインに、オリスは拠点を構える。周囲は森に囲まれており、のどかな田舎町といった風情がある。


密漁者たちが廃棄した漁網は、決して腐ることなく海を漂い、海生生物たちを傷つける。ブレスネットはこういった廃漁網をアップサイクルし、アクセサリーを製作している。

密漁者たちが廃棄した漁網は、決して腐ることなく海を漂い、海生生物たちを傷つける。ブレスネットはこういった廃漁網をアップサイクルし、アクセサリーを製作している。


アクイス オリス×ブレスネット

アクイス オリス×ブレスネット
ブレスネットとのコラボレーションモデルで、グリーン、ブルー、ホワイトの廃漁網の切れ端を加熱して溶解し、薄いシート状にしてダイヤル素材に使用。各素材の混ざり具合には個体差があるので、すべてが一点ものの価値を持つ。グリーン系のダイヤルは昨今のトレンドだが、このモデルはそこにエコという魅力が加わるので、さらに価値あるものになっている。ともに自動巻き、SSケース。右/ケース径36.5mm、385,000円(税込) 左/ケース径43.5mm。385,000円(税込)



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「CHANGE FOR THE BETTER DAYS」を
具現化する試み

 冒頭でも話した通り、オリスのエコ活動は日本でも行われている。2019年に始まったオリス クリーンプロジェクトは、まずはブティックがある銀座周辺のゴミひろいから始まった。そして賛同者を募ってビーチクリーン活動などもスタートさせており、草の根ながら、その活動規模はどんどん広がっている。


 現在のオリスの日本におけるエコ活動のキーパーソンとなるのが、フリーダイビング世界選手権金メダリストの岡本美鈴さんだ。


「2003年からフリーダイバーとしてのキャリアをスタートさせましたが、海洋汚染の状況を目の当たりにしたのは、バハマで行われたバーティカル・ブルーというフリーダイビングの国際大会でした。会場からちょっと離れたエリアの砂浜に行ったところ、足の踏み場がないぐらいプラスティックで埋め尽くされていました。ダイバーたちは環境意識が高いので、海中やビーチの掃除はしますが、結局翌日になるとまたごみが漂着している。拾いながらも、どこかモヤモヤしていた気持ちがあって、それがMarine Actionという海洋保全活動を立ち上げるきっかけになりました。縁あって私は2023年からオリスのアンバサダーを務めていますが、オリスのスタッフと驚くぐらい距離感が近い。スイス時計には伝統がありますし、しっかり時計作りをしてきたブランドですから、話をもらった時は緊張感がありました。でも色々な話をしているうちに、向いている方向が同じで、ちゃんとアクションとして理念を実現している時計ブランドであることがわかりました。オリスにサポートしてもらっていることは、本当に誇りに思っていますし、自然を大事に思っているブランドの姿勢を、周囲のフリーダイバーにも伝えています」


岡本美鈴(フリーダイバー)

岡本美鈴(フリーダイバー)。30歳からフリーダイビングに挑戦するや、めきめきと頭角を現し、2006年には日本記録を樹立。2015年の世界選手権で日本人は初の個人戦優勝。国際大会で活躍するほか、指導や競技普及にも力を入れている。


岡本さんが拠点を構える真鶴町は、伊豆半島の付け根に位置する。美しい森林が育む、美しい海があり、岬の先には三つの巨岩が並ぶ景勝地「三ツ石」もある。

岡本さんが拠点を構える真鶴町は、伊豆半島の付け根に位置する。美しい森林が育む、美しい海があり、岬の先には三つの巨岩が並ぶ景勝地「三ツ石」もある。

>フリーダイビング日本代表・岡本美鈴さんについて詳細はこちら
ビッククラウン キャリバー473

アクイスデイト アップサイクル
ペットボトルなどのプラスティックごみをアップサイクルし、カラフルなダイヤルを製作。色とりどりのプラスティックを使用しているため、美しい色や柄が生まれる。その姿は抽象画のようでもある。ともに自動巻き、SSケース。右/ケース径41.5mm、385,000円(税込) 左/ケース径36.5mm。385,000円(税込)



>オリス アクイスデイト アップサイクルについて詳細はこちら

楽しみながら学ぶ。を実践する真鶴エコツアー

 岡本さんとオリスの共同イベントとなった神奈川県真鶴町のエコツアーだが、ビーチクリーニングの参加者は、みんな笑顔だった。その光景に対して、岡本さんはこう答える。


「やっぱり楽しくないとね。それが一番続くし、活動も広がりやすい。せっかく真鶴町でやるなら、美味しいお昼ご飯を食べてほしいし、いろいろな楽しみを組み合わせたイベントにしたい。今回は私たちの提案にオリス ジャパンが興味を持ってくれて、私が拠点にしている真鶴町でイベントを行うことになりました。イベントが実現できたのは、真鶴町の皆さんの協力も大きかったですね。この街はエコ活動に対して協力的ですし、街の人にも喜んでもらいたい。このイベントは、参加者の顔がみえるので、相手の気持ちも受け取れる。それも大切なことだと思います」


参加者は真鶴半島の琴が浜海岸でビーチクリーニングを行った。 参加者は真鶴半島の琴が浜海岸でビーチクリーニングを行った。

参加者は真鶴半島の琴が浜海岸でビーチクリーニングを行った。おそろいのビブスをつけ、キャップをかぶると、不思議と仲間意識が芽生えてくる。わずか一時間で、可燃ごみが48.3kg、不燃ごみが5.0kg。さらにブイやロープなどの大型ごみが約50kg。 総重量で約103.3kgもの成果が。まだまだゴミはたくさんあるが、少しでも海岸がきれいになったのなら、それは嬉しいことである。


 東京から真鶴までの移動は、回収された廃食油を再生したバイオディーゼル燃料で動く「天麩羅バス」。ほのかに食用油のいい匂いがするが、トルクや燃費は通常の燃料と遜色はないという。さらにかつて皇室の御料林であったことから「お林」と呼ばれる森を学ぶ「お林」ツアーでは、地元の観光ガイドの方が案内してくださり、その歴史や植生、さらには、海と沿岸部、そしてお林が一体となることで生態系が保たれており、豊かな自然環境を育むことができるという興味深い話を伺うことができた。


 美しい自然を守ることが重要であることは、誰もが理解していることだ。しかしこうやって実際に体を動かしていくことで、より身近なこととして考えることができる。オリスは、常にユーザーに寄り添う時計作りをしているが、エコ活動においてもユーザーともに歩むことを強く意識しているのだ。


天麩羅バスとは、家庭で使用された廃食油を回収・リサイクルしたBDF燃料(バイオディーゼルフューエル)のみで走るバスのこと 天麩羅バスとは、家庭で使用された廃食油を回収・リサイクルしたBDF燃料(バイオディーゼルフューエル)のみで走るバスのこと

天麩羅バスとは、家庭で使用された廃食油を回収・リサイクルしたBDF燃料(バイオディーゼルフューエル)のみで走るバスのこと。東京から真鶴までの車内でも、最新のエコ活動についてのレクチャーが行われた。当日は賞味期限切れや使用済みの廃油も回収され、燃料となって再利用される。


地元のガイドがついているため、森と地域の関係なども教えてもらえる。 地元のガイドがついているため、森と地域の関係なども教えてもらえる。

江戸時代中期の大火で焼失した江戸の再建のための木材不足を補うため、小田原藩の命でクロマツを植樹したことが始まりで、その後、天皇家の御料林になったため「お林」と呼ばれるように。現在は町に払い下げられたが、ほぼそのままの姿を守っており、樹齢300年を超えるクロマツの他、周囲長7m以上にもなるクスノキが美しい森を作っている。地元のガイドがついているため、森と地域の関係なども教えてもらえる。


アクイス プロ 4000m

アクイス プロ 4000m
なんと4000mもの防水性能を備えたプロ用の超ハイスペックダイバーズウォッチ。強烈な水圧に耐えるため、ケース径は49.5㎜でケース厚は23.4㎜。これだけのサイズを実用的に使うため、ケース素材は軽いチタンを使用する。ベゼルにはオリスの独自機構であるRSS(ベゼルセーフティーロック)が備わる。搭載ムーブメントは、自社設計のキャリバー400。自動巻き、Tiケース、ケース径49.5mm。803,000円(税込)


取材・文:篠田哲生 / Report & Text:Tetsuo Shinoda

写真:江藤 義典 / Photos:Yoshinori Eto


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