精緻なムーブメントの姿を顕にし、それをデザインエレメントとして活かしたスケルトンダイアルは、オリエントスターを代表するクリエイションのひとつ。オリエント時計(2017年にセイコーエプソンに統合)では1991年発表の「モンビジュ」(※現在は販売終了しています)で初めてスケルトンデザインを取り入れたが、内部構造を可視化させながらもエレガントに仕上げたそのタイムピースは、クォーツウォッチが世界的に普及し続ける中で、機械式時計の“輝ける星”を目指すオリエントスターが復活する大きな足掛かりとなった。
「モンビジュ」の誕生を機に、オリエントスターではスケルトンデザインのタイムピースを積極的に展開。なかでも、ブランドが創設70周年を迎えた2021年には、これを記念した「スケルトン ~C/2021 A1~」を、その翌年には「コンテンポラリー スケルトン」をそれぞれ発表したことは記憶に新しいだろう。そして、このデザインを取り入れた最新モデルが「アバンギャルドスケルトン」。昨年、一昨年に発表されたスケルトンデザインのモデルも現代的なルックスへと変貌を遂げていたが、「アバンギャルドスケルトン」ではこれをさらに推し進め、ソリッドな質感表現を追求したタイムピースとなっている。
何より印象的なのはオープンワークのダイアルだ。その構造は実に独創的で、ムーブメントと文字板との境界を感じさせないレイアウトを採用。しかも色調が微妙に異なる上下2枚の文字板で構成されており、上板に放射筋目、下板に縦筋目と仕上げも変えることで立体感を強調している。そのオープンワークダイアルから姿を見せるのは、自社製造の自動巻きムーブメントCal.F8F64。波目模様を施した地板によって表情に奥行きを感じさせるだけではなく、スケルトンデザインのアクセントとなるブルーのシリコン製がんぎ車を採用することで、日差+15~-5秒の高精度と60時間以上のパワーリザーブを実現するなど、実用性も高めている。
色調と仕上げを異にした2枚の文字板を組み合わせることで、モダン建造物のような、立体的でクールな雰囲気を実現したダイアル。もちろん、2枚の文字板は単なる意匠ではなく、上板は機能パーツを支え、一方の下板は落下時の衝撃から上板の変形を防ぐ役割も備えている。この、奥行きと立体感のある文字板のデザイン技術は特許も取得した。
6時位置のスモールセコンド横に姿を見せているのがブルーのシリコン製がんぎ車。高精度製造技術を駆使して作られ独自技術が国内外で特許登録されたこのパーツにより、「アバンギャルドスケルトン」は、オリエントスターの自動巻きムーブメント初となる60時間以上のパワーリザーブを実現した。シリコン製がんぎ車の視認性を向上させたデザイン技術についても特許を取得。
このオープンワークダイアルを引き立て、「アバンギャルドスケルトン」のソリッドな表情に大きく寄与しているのが、ケースとベゼルの仕上げだ。オリエントスターの時計は、かねてより丁寧な仕上げに定評があるが、「アバンギャルドスケルトン」ではこうした表面処理のクオリティに加え、特徴的なオープンワークダイアルと一体感を持たせたクリエイションも堪能できる。
ケースとベゼルに採用されているのは、高品質ステンレススティールとして知られるSUS316L。ケースは筋目仕上げをベースとしながら、両サイドの斜面はザラツ研磨によって歪みのない鏡面に仕上げ、多層構造のダイアルと同様、エッジの効いた造形に。そして、このケースに組み合わせられるのは、2020年発表の「アバンギャルドスケルトン ベーシック」で採用された、6カ所にビスが打ち込まれたベゼル。ただし今回のモデルでは表面をフラットに仕上げ、さらにビスもシルバー色に統一することで、従来のスポーティーで力強いルックスから一転、インダストリアルかつモダンな雰囲気を感じさせるデザインになった。
フラットな面に筋目仕上げを施したベゼルには、六角のビスが打ち込まれており、ダイアルやケースとの一体感を持たせている。ケースやダイアルに合わせて六角ビスもシルバー色に統一したことで、従来のモデルとは異なる、ソリッドな表情に仕上がった。
ケース&ベゼルは筋目仕上げを基調としながらも、ラグに設けられた斜面やベゼルのエッジ部分に鏡面仕上げを施し、オールステンレススティールの外装にアクセントをつけている。
さらに「アバンギャルドスケルトン」では、ピッチの短いH駒のブレスレットを採用している点も特筆だ。従来のY型の駒と比べて腕なじみを大幅に向上させているのみならず、すべての駒に筋目仕上げを施すことで、ケース&ダイアルとの統一感が生まれ、このモデルが目指したソリッドな雰囲気を時計全体で表現することに成功。その、力強くも繊細な佇まいはモダンな建造物のようでもあり、時計愛好家はもちろん、先鋭的なデザインプロダクトを好むコニサーたちの琴線にも触れることだろう。
従来の「アバンギャルドスケルトン ベーシック」ではY型駒だったが、この新作ではH駒のブレスレットを採用。駒のピッチを短くすることで手首に滑らかに沿う、快適な装着感を実現した。
この「アバンギャルドスケルトン」は、ケースとブレスレットをステンレススティールで統一した「RK-BZ0001S」、ステンレススティールに黒色メッキを施し、コーデュラバリスティックナイロンのストラップを組み合わせた「RK-BZ0002B」という2種類のレギュラーモデルに加え、スティールのブレスレットとともにコーデュラバリスティックナイロンの交換用ストラップも付属する、オリエントスタープレステージショップの限定モデル「RK-BZ0003S」も用意。それらの表情の違いは、ぜひ店頭で実物を手に取って確かめてほしい。
取材・文:竹石祐三 / Report & Text:Yuzo Takeishi
写真:江藤義典 / Photos:Yoshinori Eto
全国のオリエントスター正規販売店でオリエントスターフェアを開催いたします。フェア期間は2023年6月10日から6月30日となります。この機会に是非、お近くのお店へ足をお運びください
※フェア開催日程については店舗により異なる場合がありますので、詳細については各店舗にお問い合わせください。
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※価格は2023年5月10日現在のものです。
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