男性にとって腕時計というのは、一種のアクセサリーである。G-SHOCKはポップなカラーリングや耐衝撃性能を形にしたデザインが評価され、オフシーンを楽しむアクセサリーとして人気を博した。しかし近年は、“メタルケース×アナログ表示”のモデルが増えており、ビジネスシーンでG-SHOCKを楽しむ人も増えつつある。特に最高峰ラインである「MR-G」は、本格時計にも匹敵する素材感と仕上げを持っているので、オンオフ問わずに使いたいと考えるのは自然なことである。
しかし一つ懸念点があった。究極のタフネスを追求し、いかなる場所でも正確に時を刻むために機能性を追求すると、どうしても時計のサイズが大型化してしまうのだ。カジュアルシーンにおけるアクセサリーと考えれば、大きくて存在感がある時計はメリットが大きいが、ビジネスシーンで使うとなると、シャツやジャケットとのバランスが大切になるので大きすぎる時計は選べない。となると、G-SHOCKとビジネススタイルの相性は、必ずしも良好とはいえないのだ。
と、いうのはこれまでのG-SHOCKの話。実はG-SHOCKの進化は、新たな局面を迎えている。そのきっかけは、カシオの「オシアナス」にあった。薄型ケースでエレガントなデザインを目指すオシアナスは、ビジネスシーンでの使用を考え、高機能でありながら薄型化を目指した。その際に高精度技術の核の一つであったGPS衛星電波機能を外す決断をしたのだ。これまでのカシオは、技術を尊ぶがゆえに「できることはすべてやる」という精神で突き進んできた。しかし“時計としてのクオリティ”を考えると、使用感やサイズ感という要素も大切になってくる。そこで辿り着いたのが、高精度機能の絞り込みだった。
そもそもカシオの高精度技術は、まずはブルートゥースでスマートフォンと繋がって正確な現在地時刻をキャッチする「モバイルリンク機能」が第一段階。そしてスマートフォンと連動できない場合は、世界6局の電波局から発信される標準電波をとらえて時刻修正を行う「マルチバンド6」が起動し、それでもダメだった場合に「GPS衛星電波機能」を使用するという流れになっている。しかしほとんどのユーザーが、モバイルリンク機能で十分であることを考えると、消費電力が大きくて受信アンテナも大きいGPS衛星電波機能は、ビジネスユースを考えるオシアナスにとっては、必ずしも必要ではなかったのだ。
薄型&小型化したオシアナスは、大人気を博した。それがカシオの時計戦略の大きな転換期となった。
もちろんG-SHOCKは究極のタフネスウォッチであり、アマゾンの奥地や砂漠のど真ん中のような僻地であっても正確な時刻を示さなくてはいけない。携帯電話もつながらず、標準電波も届かない場所で使うためには「GPS衛星電波機能」は必須である。しかしビジネスシーンに似合う“洗練された時計”を目指すのであれば、G-SHOCKであっても機能を絞り込むメリットは大きいだろう。
高精度性能はそのままに、GPS衛星電波機能をはずしてサイズダウンした新作「MRG-B1000」は、そういった新しい思考から生まれた。
まずは2018年10月にオールブラックの「MRG-B1000B」が登場し、そして2019年末にメタル色の美しい「MRG-B1000D」が誕生した。MR-Gの人気シリーズ「MRG-G1000」のサイズは、直径49.8mm×厚さ16.9mmという堂々たるものだが、「MRG-B1000D」のサイズは直径46.2mm×厚さ14.6mmに収まった。これは同等の機構を持つ自動巻き式クロノグラフよりもコンパクトなプロポーションである。
ケースの厚みは14.6mm。このサイズ感は、自動巻き式クロノグラフと同等。しかもケース下部を絞り込むように設計しており、さらに薄く見せている。
優れた機能性で人気の「MRG-G1000(写真左)」は、大きくて厚いためシャツの袖口には収まらないので、カジュアル使いが適している。一方「MRG-B1000(写真右)」は抜群のプロポーションゆえに、シャツとの相性も良い。
しかも6時位置にデュアルタイム機能を搭載しているが、タイムゾーン表示を省くことでシンプルなルックスにしているのも特徴。ダイヤル表示がシンプルになったことで高級感も向上した。こういったデザインは、機能をスマートフォンアプリにアウトソーシングしているからこそ可能になった。スマートフォンと強く結びつくことで、サイズ、デザイン、機能の全てにプラスをもたらしたのだ。
キレのある斜面も、高級感を引き出すポイント。ザラツ研磨という特殊技法を使っており、歪みの無いポリッシュ面が生まれる。
スマートフォンで操作するため、ダイヤル上で全てを語る必要がなくなった。その結果、顔の印象もスッキリしている。
「MRG-B1000D」は、デザイン、機能、サイズはもちろんのこと、ケースの磨きなども含め、細部までしっかりと作り込まれており、“時計としての価値”を高めたG-SHOCKである。
もちろんGPS衛星電波機能も持つ最強スペックモデルも継続するのだが、小型で美しく、それでいて機能的な時計の誕生によって選ぶ楽しみが増え、さらに多くのユーザーを惹き付けるに違いない。
男性にとって腕時計は、大切なアクセサリーである。タフでありながら洗練されたデザインとサイズ感をもつG-SHOCK「MRG-B1000D」は、これまでは難しかったビジネス×G-SHOCKを可能にする存在であり、大人のG-SHOCKは、まだまだ進化する。
G-SHOCKの最高峰「MR-G」の最新モデル。高精度機能を引き算し、ブルートゥース搭載電波ソーラーにすることで時計モジュールのサイズダウンに成功し、結果、腕馴染みのよいプロポーションの時計が完成した。スマートフォンのアプリでワールドタイムの設定などを行うため、操作性も優れる。 引き締まった印象を作るため、チタン製のケースやブレスレットに対して深層硬化処理とチタンカーバイト処理を行うことで、美しいシルバー色に仕上げる。その一方でベゼルには深層硬化処理とDLC処理を行い精悍な黒を引き出した。アクセントとしてブランドカラーの赤を使ったダイヤルも美しい。 こういった黒×銀×赤の色使いは、甲冑などに用いられる日本の伝統美であり、メイド イン ジャパンへの誇りもしっかりと実感できるだろう。 |
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Ref.: | MRG-B1000D-1AJF |
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ケース径: | 46.2mm |
ケース厚: | 14.6mm |
ケース素材: | チタン |
ムーブメント: | クオーツ(ブルートゥース搭載電波ソーラー) |
価格: | 260,000円(税抜) |
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取材・文:篠田哲生 / Text:Tetsuo Shinoda
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