BREGUET | ブレゲ 2025新作 新たな高精度へと飛躍。ブレゲ「クラシック 7225」
1802年、アブラアン-ルイ・ブレゲは精度向上のために複数の機構を備えた5本の時計の製作に着手しました。その中でも特に、ナチュラル脱進機と組み合わせたトゥールビヨンが際立っています。これらの作品は、当時のブレゲが顧客に提供できた最高峰のクロノメトリーを体現するものでした。
2025年で250周年を迎えたブレゲ・マニュファクチュールは、マグネティック・ピボットを用いたテンプと10Hzの高振動脱進機を装備した「クラシック 7225」を発表し、その伝統を継承します。
究極の精度は、ひとつの方法の探求からではなく、いくつもの装置の組み合わせによる成果として得られますが、アブラアン-ルイ・ブレゲは、そのことを理解していました。時計師ブレゲは、回転速度や振動数、脱進機のタイプなど、機構に関するパラメーターを変えるなどして、多くの実験を自ら行いました。これらの条件は交錯し、使用する素材や潤滑油などにも及びました。
振り返ってみると、いくつかの技術革新は時計史において決定的な転機となり、今日に至るまで受け継がれています。それは1801年にブレゲが特許を取得したトゥールビヨンや、現在の「トラディション」コレクションのモデルに見られるフュゼ・チェーンによるコンスタント・フォースもそのひとつです。
しかしながら、歩度の乱れを直ちに正して高精度を実現する高振動に関しては、現代とは違ってそれが開発対象になることはありませんでした。理由のひとつは、懐中時計の原理自体にそれが存在しないからです。懐中時計は常に同じ姿勢にあり、ムーブメントが外乱を受けることがほとんどないのです。
また、18世紀末の技術的な手法では高振動を達成するための前提条件となる信頼性の高い脱進機や十分なパワーリザーブなどがまだ整 ってなく、進歩が不可能だったことも理由でした。そして2008年、ブレゲの腕時計に初の高振動モデルが姿を現しました。
高精度の探求に新たな息吹
現在では時計に不可欠な機械装置は、製造過程から完成までの過程はもとより、注油や品質管理など多くの点が完全に確立されています。装置の能力やシステムの信頼性は、パワーリザーブが数日間まで伸びたのと同じくらいの高レベルに達しました。したがって「クラシック 7225」は、アブラアン-ルイ・ブレゲによって灯された明かりを再び取り上げ、「高振動」の面から精度の頂点を極めることにしました。
ブレゲ・マニュファクチュールは、2000年代後半からこの問題に取り組んできました。2010年11月9日にマグネティック・ピボットは特許登録されました。その原理は、最もブレゲらしい精神、とりわけ大胆な発想にあります。そのアイデアは、これまで大敵とされてきた磁気をムーブメントの中心で自在に操るということに他なりません。
マグネティック・ピボットを機能させる方法
ムーブメントを司る機構の規則正しい動きを乱す恐れがあるために最近まで避けられていた磁気は、ここではその有用性が限定的に用いられています。目的は、2個の磁石の間で生じる磁場によってピボット(テンプのテン真)の安定を維持し、同時にテン真を重力の影響から開放することです。テン真の上側と下側は、それぞれ微小な磁石に向き合い、それらが一緒になってテン真の内部に強い磁束を作り出します。磁束に微妙な不均衡が生じると、自発的にテン真の両端を常に反対側の軸で接触するように支えます。衝撃を受けた場合、復帰のための磁力が作用してテン真が自動的に中心に戻ります。
この装置の性能は疑う余地がありません。一般的に時計師たちはムーブメントから最後の1マイクロテスラ(μT)まで磁気を排除しようと努めますが、マグネティック・ピボットでは約1.3テスラ(13,000ガウス)の残留磁気をもつ2つのマイクロマグネットを安全に活用しています。その結果、テンプの振幅においてこれまでにない安定性が実現されています。
実際、一般的なテンプのテン真は軸石の中で回転します。時計の縦位置の4姿勢(リュウズ位置での縦左と右、下と上)において、テン真が軸石の窪みの内側に軸の側面をこすりながら回転するため、テン真の重量によって摩擦力が増大します。しかし、水平2姿勢(水平上と水平下)でも同様に摩擦力は生じ、それが増大します。ところが、マグネティック・ピボットの場合、摩擦力はごくわずかです。というのも、テン真の両端は、軸の側面に対して常に最小限の面が軸石に向いて回転し、それがほとんど6姿勢において変わらないからです。そのため、6姿勢での平均歩度の改善をもたらすのです。
2世紀以上に及ぶ時計の研究開発において初となるこの成果は、あらゆる人から絶賛を浴びました。ブレゲは、テンプの両端にそれぞれ微小な磁石を取り入れたテン真を用いることで劇的に安定したシステムを考案しました。テン真は中心を維持し、自身で位置の修正さえ行います。ブレゲは最初にこれを10Hzの振動数を持つ「クラシック クロノメトリー 7727」に取り入れました。このモデルは、時を経ずして2014年のジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリ(GPHD)の最高の賞であるエギーユ・ドール(金の針賞)を授与されるという栄誉に浴しました。ホワイトゴールドやロースゴールドで提供される「クラシック クロノメトリー 7727」は、現在「クラシック」コレクションの代表作に数えられています。
ブレゲ クラシック 7225、現代に受け継がれる遺産
創業250周年を記念し、ブレゲはマグネティック・ピボットと高振動脱進機を組み合わせた新たな解釈を発表しました。その着想源となったのは、1802年から1809年の間に製作された傑作「ブレゲ No.1176」です。
この作品はいくつもの点で特別な存在です。技術的には、4分トゥールビヨンを搭載した最初の4本の時計のひとつであり、ブレゲが販売した5番目のトゥールビヨン搭載時計でもあります。
さらにこの卓越したピースには、フュゼ・チェーン機構を用いたコンスタントフォース脱進機も備わっていました。
歴史的にも、「No.1176」は栄誉ある顧客に納品された5本の4分トゥールビヨンの系譜に属しています。そのうち2本はエルサレムのイスラム美術館に所蔵され、伝説的な「マリー・アントワネット」懐中時計と並んで展示されています。残る2本は、ブレゲミュージアムのコレクションに収められています。
残る2本はそれぞれ、ジョージ3世(1738~1820)とオスマン帝国の王子によって所有されており、もう1本は現在個人のコレクションとなっています。No.1176は、名門ポーランド貴族ポトツキ伯爵に納品された時計です。現在、この時計はパリのブレゲ博物館に収蔵され、最も貴重な作品のひとつとして保存されています。
このタイムピースこそが、「クラシック 7225」のインスピレーションの源となりました。オリジナルのモデルには、すでに卓越した精度を誇るコンスタントフォース・トゥールビヨンが搭載されており、大胆で印象的なダイヤルには2つのスモールセコンドが配されていました。そのうち右側のスモールセコンドは、必要に応じてスタート/ストップの操作が可能でした。
「クラシック 7225」は、この革新と伝統の遺産を受け継ぎ、ブレゲゴールド製41mmケースのサファイア・ケースバックからは、マグネティック・ピボットの構造をはっきりと確認することができます。
脱進機の可動部では、ブレゲはフェナキストスコープ式のシネマスコープによるアニメーションを考案しました。10Hzの振動で動く回転部は、1秒に20コマの画像を表示し、これによって「1775」と「2025」の2つの文字が滑らかに交互に表示されます。これはひとつの画像から次の画像へと滑らかに連続して変容する「モーフィング」の仕組みを用いたもので、ブレゲでは初の試みです。
「クラシック 7225」のデザインに関しては、5つのうちの最後のモデルに用いられた複雑機構とデザインコードを再現しています。すなわち、センター軸の時針と分針、6時位置に配された扇型のパワーリザーブ表示(かつては35時間、現在は60時間)、2時位置と10時位置にそれぞれ設けられた2つのスモールセコンドです。
スモールセコンドが2つ存在することには説明を要します。2つは実際に精密な時間計測のために協力するのです。1809年の「No.1176」にすでに見られたこのデザインは、アブラアン-ルイ・ブレゲがまさに発明したものです。2つを区別するのは、時間計測の仕組みです。ただし「クラシック 7225」が「No.1176」と異なるのは、「フライバック」が取り入れられている点です。これによって、計測中に瞬時にゼロリセットが可能になります。
原理は単純です。2時位置のスモールセコンドは「伝統的」な秒表示で、時計のパワーリザーブが尽きるまで秒針が回転し続けます。反対に10時位置のスモールセコンドのほうは計測に用い、8時位置のスライドボタンでゼロリセットが行えます。この追加機能により、中間タイムや2つの同時イベントの経過時間を測定することができます。これはまさに、1820年にブレゲが発明したタイムピースと同じ原理であり、その発明こそが現代のクロノグラフの起源となったのです。
日差±1秒を保証する正確さ
過剰な複雑さを避け、使いやすく、実際に正しい時間を素早く正確かつ直感的に読み取れるという方法論は、まさにアブラアン-ルイ・ブレゲの最も純粋な考え方の中に存在しています。このことは1809年のコンスタント・フォース機構を搭載するトゥールビヨンが高精度の精密な時間計測を実現したことでも証明されました。
2025年、高振動とマグネティック・ピボットを活かした「クラシック 7225」の場合も同じです。ブレゲ・マニュファクチュールは、このモデルに日差±1秒を保証します。懐中時計にとってのトゥールビヨンのように、腕時計にはマグネティック・ピボットが精度の要を演じます。
ブレゲ250周年を記念して発表されたほとんどのモデルと同様に「クラシック 7225」もブレゲゴールドのケースと、快適な装着感をもたらす新しいデザインのラグが用いられています。文字盤やケースバンド、ラグの間は「ケ・ド・ロルロージュ」模様のギヨシェ彫りで装飾されています。時と分、スモールセコンド、計測用スモールセコンド、パワーリザーブの各表示に施されたギヨシェ彫りのフランケ模様は、30工程にも及ぶ手作業で実現されています。
ブレゲ・シール
ブレゲの卓越性を語るしるし
ブレゲ250周年は、特に装飾や技術、倫理性の面でメゾンが実践する卓越した行動を際立たせる機会にもなっています。これらは現在ブレゲの精密時計に刻まれるシール(極印)に体現されています。この認証印は、部品の品質、性能、倫理性という3つの柱から成り立っています。ブレゲ・シールは、完成した時計の頭頂やバックルに刻まれます。
美しく調和したデザイン
ブレゲ・シールは、あらゆる時計が上質に製造されていることを保証します。ここで問題にするのは仕上げについてですが、仕上げに用いられた方法やデザイン全体との一貫性にも及びます。
仕上げは、極印に携わる委員会が監修する厳格な内部仕様書に基づいて実践されます。これにはメゾン・ブレゲで働く工芸職人の仕事に光を当てたいという意向があります。職人はメゾン特有の仕上げを手作業のみで行っているからです。
この委員会はまた、ブレゲ・シールを発展させるミッションを担っています。したがって、これが刻印されたそれぞれの時計は、ブレゲの時計技術を最も素晴らしい形で提供するために考案され、開発され、製造されたことを保証するのです。
卓越した技術
ブレゲ・シールは次に性能のレベルも保証します。製造の各工程で完了、組み立て、品質管理が行われ、個別番号によって識別されたそれぞれの時計に関して、最終検査の際にそれを保証します。時計の性能とは、すべてに一貫して精度、耐磁性、モデル固有の防水性です。これとは別に、グランソヌリやミニッツリピーター、アラームなどでは音響も厳格な仕様の対象となります。
精密時計はそれぞれの種類に応じて日差のレベルが分類されます。「科学用ウォッチ」は日差±1秒、「民間用とスポーツウォッチ」は日差±2秒、「ドレスとジュエリーウォッチ」は日差-2秒から+6秒という具合です。
さらにブレゲは、より厳格な基準に基づいて部品の耐磁性を調べることで最終検査の要件を強化しています。基準値は、NIHS90-10規格の曝露値の最低10倍と定められ、残留偏差は規格の定める値の最低3分の1以下となるよう設定されています。性能検査には、各モデル固有の防水性についても同様に課せられます。
投資の中心にある倫理性
最後にブレゲ・シールは、精密時計を構成する部品全体がオートオルロジュリーに関する最も高い基準に従い、スイスで入念に加工されたことを証明します。こうしてブレゲは、伝統的な時計のノウハウの向上に加え、その維持や価値の強調に努めるキープレーヤーの一員に加わるのです。
倫理的観点は、現行モデルおよび歴史的なモデルに対応するソリューションを開発できる専門スタッフを常時確保していることにも表れています。ブレゲは、自社の時計の生涯にわたる修理可能性を保証することを約束しています。時計精度の詳細なデータ、資材調達や製造データは、マニュファクチュールの非物質的な遺産の一部を成すだけでなく、ブレゲが個々の精密時計に施した入念な作業をさらに補完する保証にもなっています。
ブレゲ・シールはまた、活動全体の環境的側面をはじめ、社会的側面や経済的側面を考慮しています。マニュファクチュールのパートナーやサプライチェーンも、すべてがブレゲ・シールの要求水準のもとに運営されています。
Classique 7225
クラシック 7225
Ref:7225BH/0H/9V6
ケース径:41.0mm
ケース厚:10.4mm
ケース素材:18Kブレゲゴールド
防水性:3気圧(30m)
ストラップ:ネイビーブルーのラージスケールアリゲーターレザー、18Kブレゲゴールド製ピンバックル
ムーブメント:手巻、Cal.74SC、60時間パワーリザーブ、毎時72,000振動(10Hz)、54石
仕様:時・分表示、フライバック機能付きスモールセコンドおよびオブザベーションセコンド、「ケ・ド・ロルロージュ」モチーフの手彫りギヨシェ装飾を施したケースバンド、同モチーフを施した18Kブレゲゴールド製ギヨシェ文字盤、サファイアクリスタルケースバック、当時ブレゲが使用していたモロッコ革のケースから着想した赤いレザーの250周年スペシャルエディションボックスが付属
価格:12,617,000円(税込)
※2025年11月時点での情報です。掲載当時の情報のため、変更されている可能性がございます。ご了承ください。
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