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Watch Person Interview vol.58  独創的な新作の背景にある 時計作り“三本の柱”とは?

独創的な新作の背景にある 時計作り“三本の柱”とは?

  2016年もまた、世界最大規模の時計見本市バーゼルワールドが3月17日から24日まで、スイス・バーゼル市で開催された。


  この見本市だけでなく、我々がずっと注目し続けているブランドのひとつにジャケ・ドロー(Jaquet Droz)がある。


  時計師、そしてオートマタ(自動人形)作家として18世紀に活躍したピエール-ジャケ・ドロー(1721~1790)とその息子アンリ・ルイ-ジャケ・ドロー(1752~1791)によって興されたこのブランドが1995年に復活して以来、活動を注視し続けてきた我々だが、今回、バーゼルワールドのブース内においてCEOであるクリスチャン・ラトマン氏に話を伺う機会を得た。


  まず我々が知りたいのは、2016年の新作にかける意気込みだ。


「私たちは今年の新作のため、多くの時間と予算、手間を費やしましたが、そこには三つの柱があります。

  第一の柱はオートマタ。これは我々のブランドが250年以上も前から作ってきた歴史が背景にあります。これによりジャケ・ドローは、非常にユニークなポジションを時計界に構築しています。

  この分野で昨年は『チャーミング・バード(The Charming Bird)』を発表し、ジュネーブ時計グランプリでエクセプション・メカニック部門賞を受賞してオートマタ製造における自社の技術を業界に認識させるなど、大きな成果を得ました。

  もちろん今回のバーゼルでも新バージョンを発表しました。そのモデルは、チャーミング・バードとバード・リピーターを発表し、非常に好評です。特に日本をテーマにしてカスタマイズされた世界限定1本のバードリピーターは、すでに完売しました。

  第二の柱はクラフトマンシップ(職人の技術)。我々は新しいデザインと新しい芸術を取り入れたモデルを毎年開発し、常に新しい作品を作っていこうと考えています。

  その実現のため、当社には芸術的な時計作りのための専門アトリエが設置されています。この工房が手がけた作品では、新作『プティ・ウール ミニット サウザンド イヤー ライツ(PETITE HEURE MINUTE THOUSAND YEAR LIGHTS)』がその代表です。

  このモデルは、アジアの古典的な芸術である螺鈿細工(らでんざいく)にインスパイアされたもので、パイヨン・エナメル(金の細片を用いる特殊な七宝技術)のパイオニアとして、すべての工程を自社で仕上げることを実践しています。これは婦人用のモデルであり、完全なハンドメイドです。

  また、新たなミネラル(鉱物)をダイアルに用いたモデルもあります。このコレクションは、顧客からの特別注文にも応えられます。それは1本あるいは8本の非常に限定されたモデルとして生産されるものです。

  第三の柱は、“グラン・セコンド コレクション”です。これはアンティークのジャケ・ドロー製懐中時計からインスパイアされ、2002年から展開するジャケ・ドローのブランドを代表するラインです。このコレクションには近年、複雑機構の搭載を進めていますが、新作『デュアルタイム』は、世界を旅したピエール-ジャケ・ドローにちなむモデルで、まさに世界を旅するのに最適な実用的複雑時計です。

  このモデルのオニキス製ダイアルもオパーリンシルバーダイアルも、すべて手仕上げ。また、ステンレススチールのケースも設定されていますが、これはジャケ・ドローを手に入れたい方のため、より間口を広げるため。その他、ジャケ・ドローのSSモデルには、オニキスやシルバーなどを手仕上げした特別なダイアルを採用しています。もちろん品質はゴールドのモデルとまったく同等。決して手は抜いていません。

  この『デュアルタイム』を2016年のバーゼルワールドで発表出来たことを非常に嬉しいく思っています。その結果、“これこそジャケ・ドローのスタイルであり、アイコニック(象徴的)なモデルだ”と高い評価をいただき、多くのオーダーと反響をいただきました。

  これら三本の柱が、今年の新作には存分に表現されています。同時に、これが非常に明確なジャケ・ドロー伝統でもあるのです」



取材・文:名畑政治 / Report&Text:Masaharu Nabata
写真:堀内僚太郎 / Photo:Ryotaro Horiuchi


ジャケ・ドローについてのお問合せは…
ジャケ・ドロー /スウォッチ グループ ジャパン
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TEL: 03-6254-7288
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